『バロウズの妻』バロウズ、妻射殺前のメキシコ生活について

バロウズの妻(2000)
BEAT

監督:ゲイリー・ウォルコウ
出演:コートニー・ラヴ、ノーマン・リーダス、ロン・リヴィングストンetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ルカ・グァダニーノ監督がウィリアム・バロウズ「おかま(Queer)」を映画化したということで原作を読んでみた。その中で、バロウズのメキシコ生活に興味持った。参考資料として『バロウズの妻』を観た方が良いと思い、触れてみた。

『バロウズの妻』あらすじ

1944年、ニューヨーク。ジョーン・ヴォルマー(コートニー・ラヴ)は色仕掛けで地元の薬剤師から薬剤を入手し、仲間たちとドラッグに耽る日々を送っていた。時は流れ1951年、メキシコ。ジョーンはバロウズ(キーファー・サザーランド)と結婚し子供を一人もうけながらも、セックスレスの困窮生活に直面していた。リー(サム・トラメル)という若い男に夢中になり外国旅行に行ってしまった夫への嫉妬。そんな感情に悩むジョーンの前にかつての恋人ルシアン・カー(ノーマン・リーダス)と、ルシアンへの同性愛感情に苦しむ詩人アレン・ギンズバーグ(ロン・リヴィングストン)が現われ、一緒に旅行を楽しむ。そしてルシアンから、一緒にニューヨークへ戻ってくれと愛を告白されるが、彼女は承諾しない。やがてバロウズが帰ってくる。気まずい雰囲気の中、バロウズはジョーンに、ウィリアム・テルごっこをやろうと提案する。ジョーンは頭の上にグラスを乗せ、バロウズは銃を発砲。しかし弾は誤って、ジョーンの頭を撃ち抜くのだった。

映画.comより引用

バロウズ、妻射殺前のメキシコ生活について

ジョーンが「撃ちなさいよ」とあおる場面から始まる。タイプライターや食事の後にスタッフ名を入れるイカしたタイトルを流した後、彩度ジョーンの発言を反復させ、ウィリアム・バロウズ妻射殺事件からある程度、時間を巻き戻した位置に着地する。

本作は、バロウズというよりかはビートジェネレーションのダラダラとした空気感にフォーカスを当てていく。常時ハイで、酩酊状態な人々が、メキシコという異界でのフィクショナルな部分に身を投じているかのような描写が多い。そんな彼らから距離を置き映画は事象を捉えていく。その中でヒヤッとした場面が現れる。

例えば、飲酒運転でパトカーに止められる場面。「金が欲しいのか?」とブチ切れ寸前の警察に金を渡し、服を脱ぎ始める。苦笑いする警官、一歩間違えれば射殺される状況なのに、そんなこと関係ないとハイになり煽る者のイカれた宙吊り状態はどんなホラー映画よりも怖いものがある。

まるでノージョブフドウ氏がインドの売春宿に潜入する中で警察に捕まり職務質問受ける動画を観ているかのような緊迫感があった。

肝心なジョーン射殺シーンがクローネンバーグ『裸のランチ』まんまだったのは残念であった。もう少しショットに捻りがほしいものである。