『ピストルと少年』撃たれぬ銃の均衡

ピストルと少年(1990)
LE PETIT CRIMINEL

監督:ジャック・ドワイヨン
出演:リシャール・アンコニナ、クロチルド・クロ、ジェラール・トマサンetc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

カイエ・デュ・シネマベストに入った『ピストルと少年』を観た。想像と違った作品ながら面白く観た。

『ピストルと少年』あらすじ

離婚した母親と暮らすマルク(ジェラルド・トマサン)は、一本の電話から死んだと聞かされていた姉ナタリー(クロチルド・クロー)がそう遠くない町に住んでいることを知った。姉に会う資金を作るためピストルを手に薬局を襲った彼は、しかし直後顔見知りの刑事ジェラール(リシャール・アンコニナ)と出くわし、図らずも刑事を人質に姉の住む町へと向かう。ところがいざ再会した姉は、突然の出来事に驚きながら初めのうち弟を追い返そうとする。が、やがて彼女は刑事に弟の罪を軽くするように頼むようになり、かくて少年、少年に付き添う姉、刑事の三人での帰路は、姉と弟という枠組みすらなかった二人が肉親の情を手繰り寄せ、また刑事はそんな姉弟に情を移していく。町に着くと、マルクはジェラールにお金を借りて薬局に返しにいく。そして、その翌朝、マルクは学校へと向かう。姉と同じ父親のファミリーネームで再登録してほしいというマルクの願いは冷たく拒絶される。ジェラールの車で警察に向かいながら、マルクは小さく「仕事を見つけて、里親に出されている妹と、姉貴と三人で暮らしたいんだ」と、呟いた。

映画.comより引用

撃たれぬ銃の均衡

銃を拾った少年は、薬局に強盗へ入る。白昼堂々、ショーウィンドウに人がいるにもかかわらず、明らかに発砲できる度胸もないにもかかわらず店員に銃を向ける。本作はイキッた少年の撃たれぬ銃が緊迫感を生む作品となっている。やがて、刑事にまで銃を向け、人質に取る。そして姉に会いにいく。3すくみの関係性の中、銃を向けては向けられを繰り返す。銃を撃たずともここまでスリリングな空気感を出せるんだと感銘を受けたのであった。