【ゴダール特集】『東風』ゴダールの東部劇

東風(1969)
LE VENT D’EST

監督:ジャン=リュック・ゴダール(ハンス・リュカス)、ダニエル・コーン=ベンディット、ジャン=ピエール・ゴラン、セルジオ・ブッツィーニ、ジガ・ヴェルトフ集団
出演:ジャン・マリア・ヴォロンテ、アンヌ・ヴィアゼムスキーetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ジガ・ヴェルトル時代のゴダールを追っている。今回はゴダールが撮った西部劇『東風』を観た。

『東風』あらすじ

ファースト・シーンは一組の男女が草むらで鉄に結ばれている。女性ナレーターの声がかぶり、ドッジシティの鉱山労働者のストライキの話を伝える。社民と修正主義者と極左少数派についてだ。そして戦闘的映画人は〈何をなすべきか〉を自問する。まず革命映画について歴史を紐解いてみよう。いかに革命映画は堕落したのか?〔東風〕タイトル。青年(囚人)とヴィアゼムスキー、八ミリ・カメラの女、カウボーイ・ハットの代表、ライフル銃の実行者(G・M・ボロンテ)とインディアン青年等登場。労働者についての討論。そして代表の闘争形態の欺瞞性が暴露される。彼は労働者の階級闘争を日和見闘争に収斂し、自分は労働貴族たらんとする修正主義者である。〔極左少数派〕はこの犯罪行為に対し〔何をなすべきか〕〔ストライキ〕の挿入。また〔統一〕とは?野外討論会場。(前からタイトルやナレーターの声と前後し六名のアクションがモンタージュ)また(スターリン、毛沢東のカットもこの辺で頻繁に挿入--まるで西部劇のお尋ね者の様に)68年の五月に我々は何を経験したのか?帝国主義と現代修正主義が互に協立するこの時代に……

映画.comより引用

ゴダールの東部劇

ヨーロッパの民がアメリカへ渡り、夢を見て西を目指す。そのロマンや対立、不安が西部劇で描かれる。それを逆転させた作品にジョン・フォード『静かなる男』があり、東部劇として最高レベルのクオリティを持っていた。それだけにゴダールの実践した東部劇はイマイチ上手くいっていないように感じた。西部劇における軋轢を、ストライキに置き換えて、搾取するもの/搾取されるものの関係で描く。西部劇における荒野のロケーションを森に置き換える。銃弾も言論に置換して行なっているのだが、どうも頭でっかちな気がしてならない。一方で、面白いショットがあるのがゴダールの良いところである。読書する女めがけてトンカチとカマでダブルキルを狙う場面は慧眼なショットであった。