【夏休み映画特集】「脱出」こんな川下り嫌だ!

脱出(1972)
Deliverance(1972)

監督:ジョン・ブアマン
出演:ジョン・ヴォイト,
バート・レイノルズetc

評価:80点

一時期、Amazonを見ていたらやたらとジョン・ブアマン監督「脱出」のブルーレイをオススメされていた。先日、TSUTAYAで見つけたので試しに借りてみたところ、これがメチャクチャ面白かった。

「脱出」あらすじ

ダム建設で、もうすぐ水没する山岳地帯に、野郎どもがやってくる。彼らは都市での生活から離れ、スリルを求めにやってきたのだ!彼らがカヌーで川下りをしていると、野蛮な奴らに絡まれ、うっかり殺してしまった!さぁどうする…

ヒト…所詮野蛮な生き物

本作は、一見するといかにも70年代の暑苦しいアクション映画に見えるが、非常に文明と人間との関係性を深く洞察した作品だ。アカデミー賞で作品賞、監督賞、編集賞にノミネートされただけある。

舞台は、ダムで水没する寸前の山岳地帯。都市の男は休暇を利用し、山を訪れる。彼らは、廃墟寸前の山で暮らす人々を小馬鹿にする。超絶技巧の盲目(?)少年ギタリストとセッションを交わすが、何も彼に与えない。現地民に横柄な態度で仕事を依頼する。俺は「都市の人間だ」と言わんばかりの行動を取る。

しかしながら、独特な雰囲気を醸し出す山岳地帯はそんな文明の人々を、本来の姿「野生」へと変えていく。本能に任せ車を爆走させ、川を目指す野郎の目はライオンのようだ。そして物語が進めば進むほど、彼の本能は邂逅する。弓矢で鹿を狙う男の瞳にはもう、都市の男の欠片もない。

そんな彼らが、川下りの途中で出会う、野獣のような男達、そして厳しい自然の驚異と対峙する。都市の人間だった男たちがまさに試される。自宅でクーラーひんやりとした部屋で寛いでいるブンブンですら熱くなり、身を乗り出して見てしまう。

本作の面白いところは、ただ野生化してしまう男達を描くのではなく、「その後」も克明に描いていることだ。地獄のような川下りを終えて帰ってきた男達は、もう都市の人間に戻れなくなっている。山での壮絶な戦いがフラッシュバックしていき、PTSDのようにトラウマになっている。(この時の演出が「13日の金曜日」っぽくて面白い)。まさに、ヒトとヒトとの社会が倫理を創り出し支配する文明社会から逸脱してしまった男達の狂ったように熱いドラマだ!

本作は熱い夏に観たい作品ですな。

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