Le Paradis(2014)
監督:アラン・カヴァリエ
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
カイエ・デュ・シネマベストに選出された謎の映画『Le Paradis』をようやく入手した。アラン・カヴァリエ監督は日本では『テレーズ』あたりで紹介が止まっているのだが、近年も精力的にドキュメンタリーや実験映画を撮っていたりする。とはいえ、以前挑戦した『Pater』が非常に難解だったこともあり、『Le Paradis』には警戒していた。意を決して観ると、これが美しい傑作であった。
『Le Paradis』概要
Depuis l’enfance, j’ai eu la chance de traverser deux mini dépressions de bonheur et j’attends, tout à fait serein, la troisième. Ça me suffit pour croire en une certaine beauté de la vie et avoir le plaisir de tenter de la filmer sous toutes ses formes : arbres, animaux, dieux, humains… et cela à l’heure où l’amour est vif. L’innocence, le cinéaste en a perdu une partie. C’est si délicat à repérer autour de soi, si difficile à ne pas perdre au tournage. Ma reconnaissance va à ceux que vous regarderez à l’écran.
Pour tenir tête au temps, j’ai une parade qui est de fouiller dans mon stock d’émotions et d’images anciennes. Non pour retrouver ce qui ne reviendra pas mais pour deviner dans l’hiver les signes du printemps. Cela permet de recommencer encore une journée d’un pas aisé.
訳:子供の頃から、私は幸運にも2度の幸福の小さな憂鬱を経験し、3度目の憂鬱を穏やかに待っている。木々、動物、神々、人間……そして愛が息づいているときに、これらすべてを撮影しようとすることを楽しむ。映画監督は純真さを失っている。それは、自分の周りにある繊細なもので、撮影中に失わないようにするのはとても難しい。スクリーンで見てくれる人たちに感謝している。
時の流れに耐えるために、私は感情や古いイメージのストックを掘り起こす方法がある。もう戻ってこないものを見つけるためではなく、冬の中に春の兆しを推測するためだ。そうすることで、私はまた新たな一日を楽に歩み始めることができる。
現実と虚構を繋ぎ止める存在
小鳥が死ぬ。手の中で安らかに亡くなり、木陰に安置される小鳥。裸の男は、小鳥の生きた証を残そうと、木に石を置き、釘でぐるぐるに固定する。これにより、冬が到来し、雪が積もったとしても次の春まで証は残り続ける。この死の記録の工程と並行して、おもちゃのロボットや鳥を並べて詩や引用、物語が語られていく。これらは実在するものを使っているが、提示されるのは虚構である。この奇妙な関係から、墓とは何かが導き出される。死という、目から消えたものに対して実在するものを使ってその場に留め続ける運動。それが墓なのだと分かるのだ。一見すると、憂鬱を抱えた者によるVlogに見える作品でありながらも、アラン・カヴァリエが身近なものを使って提示する形而上。シンプルながらも、強烈なショットの連続に思わず惹き込まれてしまうような空間造形が慧眼であり、非常に面白かった。アラン・カヴァリエ監督のドキュメンタリー群は今追ってみると、新しい発見がありそうだ。