『静かなるマニ石』オラに西遊記を観せてくれ!

静かなるマニ石(2005)
The Silent Holy Stones

監督:ペマ・ツェテン
出演:ロブザン・テンペル、トゥルク・ジャホンツァンetc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ヒューマントラストシネマ有楽町で開催されているペマ・ツェテン特集に行ってきた。あらすじも調べずに『静かなるマニ石』を観たのだが、これが変な映画であった。

『静かなるマニ石』あらすじ

電気がようやく通ったばかりのチベット・アムド地方の山村の冬。寺でも村でも正月を迎える準備で忙しい。親元を離れて寺で修行している10歳の少年僧は先生のもとで勉強に励むいっぽうで、寺では年下の化身ラマの居室にしかないテレビに興味津々。大晦日、迎えに来た父に連れられて3日間の正月休みに実家に帰ると、家に届いて間もないテレビとビデオに大喜び。正月の伝統行事である村芝居の歌舞劇「ティメー・クンデン」もそっちのけで西遊記のビデオに夢中になる。少年僧は西遊記を先生たちに見せたいと思って家族に頼み込み、テレビとビデオデッキを父の引く馬に載せて寺に戻る。

※東京フィルメックスサイトより引用

オラに西遊記を観せてくれ!

まさか「西遊記を観るために家族を説得する」だけで映画を保たせるとは思わなかった。電気が通ったばかりのチベットで少年が西遊記を観るのだが、どハマりし、隙あらばテレビを観ようとする。あまりに新鮮なので、町の娯楽である演劇が退屈に感じてしまい、何とか脱出してテレビを見ようとする。素朴で牧歌的な内容すぎて笑った。だが、少年の小さな物語ながらスリリングな描写もある。演劇を抜け出して、テレビ映画上映に忍び込む場面では、家族にバレないように少しだけ観て戻ってくる。その際にお爺さんに賄賂として美味いドリンクを買ってくる。このあざとい駆け引きが面白かったりする。また、テレビが観たい欲を抑えきれず、VCDを要求するのだが、箱だけ渡された時のガッカリ感がこれまた面白かったりする。こんなシンプルな内容でここまで話を膨らませられるんだと感心しながら観入ったのであった。