動物、動物たち(1994)
UN ANIMAL, DES ANIMAUX
監督:ニコラ・フィリベール
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
早稲田松竹のニコラ・フィリベール特集で『動物、動物たち』を観てきた。本作は、数十年間に渡り閉館していた自然博物館の再オープンをめぐるドキュメンタリーである。美術館の舞台裏ものが好きな私にはたまらない一本であった。
『動物、動物たち』概要
「パリ・ルーヴル美術館の秘密」「ぼくの好きな先生」などで知られるフランスのドキュメンタリー映画監督ニコラ・フィリベールが94年に手掛けた作品。パリにある世界最大級の科学博物館・フランス国立自然史博物館を訪れ、25年に渡って閉鎖されていた動物学大ギャラリーの大規模な改修工事の模様を記録。リニューアル・オープンに向けて数万もの標本や剥製が復活していく様子を映し出す。サンフランシスコ国際映画祭グランプリ受賞作。
そして時は動き出す
古くなった板をひっぺはがす、職員たちが一丸となってゾウの剥製を運び出す。止まった時計が動き出すかのように、静けさの中、専門家の声が木霊する。どのように、魅せればより自然に対して関心をもってもらえるのか?膨大な剥製、模型、標本を前に専門家たちが導線に関する議論を行っていく。フレデリック・ワイズマンの場合、運営にかかる費用面に特化した議論が行われるが、ニコラ・フィリベールはそうした現実的な話よりも理想を語るのが好きなようだ。経済からは引き剥がされ、純粋に自然を愛する者たちが、よく観察しないと分からないレベルにまで剥製類を修復し、陳列していく魅力をひたすら追っていくのである。ニコラ・フィリベール作品を連続してみると、医療現場のビジネス面に着目しているらしい『Averroès & Rosa Parks』が異色作に見える。これも日本公開してほしいものがある。
※映画.comより画像引用