『Embryo Larva Butterfly』次の日、あなたは年を取るかもしれないし若返るかもしれない

Embryo Larva Butterfly(2023)

監督:Kyros Papavassiliou
出演:Makis Papadimitriou,Yiannis Niarros,Maria Apostolakea etc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

凄いキプロス映画があると聞きつけて『Embryo Larva Butterfly』を観た。一見するとSF的ガジェットは登場しないのだが、凄まじい時間旅行を印象的な画で紡いでいく異色作であった。

『Embryo Larva Butterfly』あらすじ

In a world where time changes arbitrarily, a couple’s relationship is tested as their individual and shared recollections of the past, present and future change unremittingly.
訳:時間が恣意的に変化する世界では、過去、現在、未来に関するそれぞれの記憶と共有する記憶が絶え間なく変化する中で、夫婦の関係が試される。

IMDbより引用

次の日、あなたは年を取るかもしれないし若返るかもしれない

時間軸がぐちゃぐちゃになった世界。朝起きると、14歳だったり34歳だったり、はたまた64歳だったりする。肉体だけが変化するのではなく、目覚めるとタイムトラベルしているような世界なのだ。なので、次目覚めたら、好きだった人と別れているかもしれないし、子どもがいるのかもしれない。そういった不安や混乱を目覚めたらすぐに把握しなければいけないのだ。朝目覚めたら別人になっていたケースなら『ビューティー・インサイド』があるが、この映画は毎日のように地続きの時間の任意の場所に着地するので過酷だ。なぜならば既に出来上がっているであろう人間関係を再度把握する必要があるからだ。この複雑な思考実験に物語こそ追いついていないような気がしたが、そんなことはどうでも良くなるぐらい、ロケーションと空気感が素晴らしい作品であった。