DE HUMANI CORPORIS FABRICA(2022)
監督:ヴェレーナ・パラヴェル、ルシアン・キャステイン=テイラー
評価:40点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
MUBIにてヴェレーナ・パラヴェル&ルシアン・キャステイン=テイラーコンビの新作『DE HUMANI CORPORIS FABRICA』が配信されていた。ヴェレーナ・パラヴェル&ルシアン・キャステイン=テイラーといえば、1981年にパリでオランダ人女性を射殺し食べた佐川一政の今を撮った衝撃作『カニバ/パリ人肉事件 38 年目の真実』で知られる監督だ。今回は手術現場に迫ったドキュメンタリーなのだが、これが強烈であった。
『DE HUMANI CORPORIS FABRICA』あらすじ
Five centuries ago, anatomist André Vésale opened up the body to science for the first time in history. Today, human flesh is revealed as a landscape that exists only through others’ attention. As places of care, suffering and hope, hospitals are laboratories that connect every body in the world.
訳:5世紀前、解剖学者アンドレ・ヴェゼールは、歴史上初めて身体を科学に開放した。今日、人間の肉体は、他者が注目することによってのみ存在する風景として明らかにされています。ケア、苦しみ、希望の場である病院は、世界中のあらゆる身体をつなぐ実験室である。
カメラを通してしか観られない内なる宇宙
MUBIに書いてある概要がヴェレーナ・パラヴェル&ルシアン・キャステイン=テイラーコンビの意図している通りのものであるならば、正直うまく行っているとは思えない。自分の肉体は自分のものではあるが、その内側は他者ないしカメラを通じてしか見ることのできない世界。このコンセプトはよくわかる。実際に眼球の手術シーンは、麻酔をかけられて寝ているであろう人物の寝ている間に行われているものであり、これは本人が全貌を追うことはできない。また臓器が取り出される場面や帝王切開で子どもが生まれる瞬間、脳内から聞こえる外の音は、これまた本人が見ることのできないものである。
映画は一貫してその側面を追うのかと思いきや、ノイズが多い。自分の目で直視できるであろう男性器の手術シーンはギリギリ目を瞑るとしても、後半『CLIMAX/クライマックス』のようにサイケデリックな空間でエレクトロサウンドを響かせるパートを10分近く続ける描写の意味を理解することはできなかった。単体であれば面白いのだが、コンセプトがある映画においてそれは致命傷となる。結果、イマイチ切れ味に欠ける映画となってしまった。
※MUBIより画像引用