『Alice dos anjos』ブラジルの「不思議の国のアリス」

Alice dos anjos(2021)

監督:Daniel Leite Almeida
出演:Adão Albuquerque,Fernando Alves Pinto,Priscila Amaral etc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『リトル・マーメイド』が黒人を主演に抜擢したことをめぐって賛否が分かれている。ただ、童話映画史の観点からみると、論文のように常に過去の映画化に対するアップデートが行われており、このアレンジは当然のもののように感じる。実際に類似のケースは「不思議の国のアリス」でも起こっており、今回紹介する作品『Alice dos anjos』はアリスを黒人が演じている。

『Alice dos anjos』あらすじ

Alice discovers a bizarre and brilliant land where she encounters even stranger characters. However the community is under threat from a local colonel who will do anything to take the land the community relies on.
訳:アリスは、奇妙で華麗な土地を発見し、さらに奇妙な人物に出会う。しかし、その土地は大佐によって脅かされていた。大佐は、地域が頼りにしている土地を奪うために何でもする。

IMDbより引用

ブラジルの「不思議の国のアリス」

本作は、「不思議の国のアリス」をブラジル版としてローカライズした作品である。黒人の少女アリスが庭で、しゃべる黒羊を見つけ、追いかけていく中で不思議の世界へと迷い込む作品となっている。野外演劇スタイルをとっており、広大なブラジルの地で、豪華絢爛着飾った人が演技をするタイプである。そして音楽はブラジルの伝統的な音楽を使っている。黒人がアリスを描いた作品といえば、『アリス&ピーター・パン はじまりの物語』が他に存在する。こちらは、閉塞感に対する現実逃避としてアリスの世界を展開する『パンズ・ラビリンス』方式を取っている異色作であった。それに対して、こちらはローカライズされているものの、王道アリス映画といった印象を受ける。とはいえ、サイレント映画初期のアリス映画のような舞台からどのように映画に持っていくかを悩んでいるような質感があり、2020年代の映画として観るとそこまで面白くはないかなと思う。

※IMdbより画像引用