冬の光(1962)
Nattvardsgästerna
監督:イングマール・ベルイマン
出演:グンナール・ビョルンストランド、マックス・フォン・シドー、イングリッド・チューリン、グンネル・リンドブロム、アラン・エドワールetc
評価:65点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
「死ぬまでに観たい映画1001本」掲載のイングマール・ベルイマン映画『冬の光』を観た。映画仲間からポール・シュレイダーの『魂のゆくえ』の元ネタだよと言われていた。ベルイマンも『田舎司祭の日記』みたいな映画撮っていたのかと思ったのだが、自問自答映画を撮り続けている彼が『田舎司祭の日記』系の映画を撮らない訳がないなと納得がいった。映画も案の定であった。
『冬の光』あらすじ
名だたる映画人から敬愛されるスウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマンが、1963年に発表した作品。61年の「鏡の中にある如く」、62年の「沈黙」にとあわせ、「神の不在」をテーマに描いた3部作の1作とされる。スウェーデンの漁村で牧師をしているトマスは、最愛の妻に先立たれてから失意の底にいた。新しい恋人のマルタとの関係もうまくいかずに疲れ果て、牧師としての自信も失っている。そんなある日、深い悩みを抱えた夫を助けてほしいという信者の女性の相談を受けるが、ありきたりな言葉しかかけてやることができない。やがて女性の夫は自殺してしまい……。「ベルイマンの黄金期 ’50-‘60年代 6本の傑作」(2014年7月26日~8月8日)にてデジタルマスター版で上映。2018年の「ベルイマン生誕100年映画祭」(18年7月~、YEBISU GARDEN CINEMAほか)でもリバイバル上映。
神父だってつらいよ
神父は寂れた教会で、やってくる人に希望を与える。しかし、この神父は鬱病寸前。表向きは荘厳な面持ちで粛々と業務をこなすのだが、彼が一人になると挙動がおかしくなる。鬱病になると簡単なこともできなくなる。真面目さでゴリ押そうとしてもどうにもならない。それを運動でベルイマンは表現する。例えば、書類を封筒にしまう場面。紙がガサついてなかなか封筒に入らない。イラついた手つきでぐしゃっと入れようとする。真面目さから本当にぐちゃぐちゃに押し込むことはなく、なんとか封筒に収まる場面は強烈だ。また、ふて寝をしていると目の前に男が立っている。なんとか彼に正しきことをしようとするのだが、男は去っていこうとする。この時に感じる社会から見捨てられたと感じてしまうような感覚がこれまた恐ろしい。そして何よりも、鬱病になった果てで感情を失った自分の分身のように現れる女の独白シーン。瞬きをほとんどせずに淡々と話す姿の異様さにこれまたギョッとさせられる。
2日で3本ベルイマン映画を観たのだが、『狼の時刻』と『鏡の中にある如く』が強烈すぎて、霞んだ印象が強かった。
ベルイマン OVERDOSEである。
※IMDbより画像引用