『The Kingdom Exodus』EPISODE 9 HALMARラース・フォン・トリアー待望のドラマ新章

The Kingdom Exodus(2022)

監督:ラース・フォン・トリアー
出演:Bodil Jørgensen,Mikael Persbrandt,Lars Mikkelsen etc

評価(EPISODE 9 HALMAR):40点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『ツイン・ピークス』と双璧なす90年代を代表とするドラマシリーズ『キングダム』まさかの最終章が今年完成した。近年、デヴィッド・リンチやニコラス・ウィンディング・レフン、オリヴィエ・アサヤスがドラマを主戦場に自分の世界観を作り上げるのがトレンドとなっている。主要キャストが亡くなったため、打ち切りとなり約30年。沈黙を破る形で新章が爆誕した。『キングダム』は「死ぬまでに観たい映画1001本」に掲載されることもあり、5年以上前に観ているのだが、全く覚えていない。そんな状況で観てみた。感想を書いていく。

『The Kingdom Exodus』EPISODE 9 HALMARあらすじ

During a nightmare a voice calls out to sleepwalker Karen—the Kingdom needs her help. She joins forces with Bulder to track down the hospital’s most difficult spirit. Swedish chief physician Helmer Jr.’s first day is met with humiliations as it becomes clear he is hiding his own personal agenda.
訳:夢遊病者のカレンに、王国が助けを求めているという声がする。彼女はバルダーと力を合わせ、病院内で最も厄介な霊を追い詰める。スウェーデン人の主治医ヘルマーJr.の初診日は屈辱的なもので、彼が個人的な意図を隠していることが明らかになる。

MUBIより引用

ラース・フォン・トリアー待望のドラマ新章

『The Kingdom Exodus』第1話は世界観のおさらい、人物紹介に注力している。夢の中で「キングダム」の存在を提示され、そのまま導かれるようにあの病院へとやってきたカレン(Bodil Jørgensen)。一度、病院へ足を踏み入れると、セピア調の世界が広がっていた。イングマール・ベルイマン『牢獄』テイストな悪夢的あのオープニングが流れ本編が始まる。

ドグマ95時代、ラース・フォン・トリアーはビデオカメラを使った新しい表現手法を確立しようとしていた。手持ちカメラによる臨場感。日常の中にあるゾッとする瞬間を、ビデオの質感で表現しようとしていた。その時代の演出を思い出すかのように、異様さを撮る。例えば、エレベーターが到着する。微妙に人が乗れそうな空間がある。だが、入ろうとするとエレベーター内の人と人との肉体が絶妙にくっつかない均衡が崩れるかもしれない。乗るか乗らぬか?この葛藤を、エレベーターの内側から覗き込むように撮る。小型カメラによるドッキリカメラのような角度から男の表情を捉えるのだ。また、S1第1話のグダグダした医者同士の議論も完全再現している。『キングダム』ファンにはたまらないであろう場面が目白押しなのだ。

しかしながら、私はその演出に首を傾げる。ラース・フォン・トリアーは『ニンフォマニアック』、『ハウス・ジャック・ビルト』で挿話の連結に磨きをかけてきた。今の彼なら自由な作劇で、テレビドラマ的果てしない疾走を描けるはずである。しかし、本作は冷凍された『キングダム』を解凍して出しているだけに見えてしまう。デヴィッド・リンチが『ツイン・ピークス』S3で、全2作を無視するような驚きをもって駆け抜けていたのを観てしまうとかなりガッカリするものがある。しかし、まだ第1話である。次の話で化けるかもしれない。油断させて異次元に連れ去るのかもしれない。どうかそうであって欲しいと祈る私でした。

※MUBIより画像引用

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