マイ・ブロークン・マリコ(2022)
監督:タナダユキ
出演:永野芽郁、奈緒(本田なお)、窪田正孝、尾美としのり、吉田羊etc
評価:30点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
平庫ワカの同名漫画をタナダユキが映画化。予告編も何も観ていないのだが、ポスタービジュアルに惹かれて観た。しかし、これがよくない映画であった。
『マイ・ブロークン・マリコ』あらすじ
平庫ワカの同名コミックを、永野芽郁の主演、「ふがいない僕は空を見た」のタナダユキ監督のメガホンで映画化。鬱屈した日々を送っていた会社員・シイノトモヨは、親友のイカガワマリコが亡くなったことをテレビのニュースで知る。マリコは幼い頃から、実の父親にひどい虐待を受けていた。そんなマリコの魂を救うため、シイノはマリコの父親のもとから遺骨を奪うことを決意。マリコの父親と再婚相手が暮らす家を訪れ、遺骨を強奪し逃亡する。マリコの遺骨を抱き、マリコとの思い出を胸に旅に出るシイノだったが……。亡き親友マリコを奈緒、シイノが旅先で出会うマキオを窪田正孝、マリコの父を尾美としのり、その再婚相手を吉田羊が演じる。
壊れてしまった者に壊れてしまった者は依存する。
本作は、ブラック企業で精神壊れてしまった女シイノトモヨがテレビで幼馴染が自殺したニュースを目撃したことから始まる。幼馴染であるマリコは家庭内暴力の被害者であり、精神が壊れてしまった存在だ。成長してもDV彼氏に依存してしまい、骨折してもヘラヘラしている。そんな彼女の心理がわからぬまま、気がつけばブラック企業で営業活動に勤しむ毎日を送っている。シイノは何を思ったのか、DV父親から遺骨を奪って旅に出る。これが物語の軸となり、シイノこそが記憶の底でマリコに依存していたことに気づく旅路へと発展していく。
しかし、映画は漫画をそのままトレースしたのだろうか、説明セリフと回想のオンパレードとなっている。漫画の場合、コマで空間を分割し、1ページに複数の時間軸を置いたり、ページを繰ることで時間の跳躍によるアクションが生まれる。しかし、本作はスプリットスクリーンも何もなく、回想を並べているだけで、もどかしさがある。つまり、漫画の顔をしようとして漫画になっていないし、当然ながら映画の顔もしていないのだ。
流石に、遺骨を盗む場面は映画的アクションの連鎖はあった。飛び降りる運動、あり得ない場所に転げ落ち、そのまま川を渡り、裸足で道路を駆けていく。下降、横断、前身の運動を通じて、日常というレーンから外れてしまった決定的瞬間を捉えており、これは素晴らしかった。
全体的に私の心がブロークンだったのでこれ以上言うことはない。
※映画.comより画像引用