『13ゴースト』メガネをかけてごらん、ほら幽霊が1,2,3…

13ゴースト(1960)
13 GHOSTS

監督:ウィリアム・キャッスル
出演:チャールズ・ハーバート、ジョー・モロー、マーティン・ミルナー、ローズマリー・デキャンプ、ドナルド・ウッズ、マーガレット・ハミルトン、ジョン・ヴァン・ドリーレンetc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ウィリアム・キャッスルの自伝「STEP RIGHT UP!」は分かりやすい英語と疾走感ある語りがとても面白く、また次から次へと飛び出すビックリエピソードを読むと「彼の伝記映画作ったら面白いんじゃないか?」と思わずにはいられない。ウィリアム・キャッスルの代表作『13ゴースト』は”ILLUSION-O”と呼ばれるシステムが導入された作品。観客には3Dメガネが配布される。メガネをかけると幽霊が見え、外すと消えるというものだ。我々が知っている3D映画はメガネを外すと全体がぼやけてしまうのだが、ウィリアム・キャッスルは幽霊だけを映すギミックとして3Dを採用した。実は、本作が彼にとって初の3D映画ではない。

1953年に3D西部劇『タイコンデロガの砦』を撮っている。しかし、本作はプロデューサーのサム・カッツマンがヒットしていた3D映画『ブワナの悪魔』に興奮し実現した企画であり、ウィリアム・キャッスルは乗り気でなかった模様。自分でコントロールできた『13ゴースト』は、3Dで映し出す幽霊を考えたり、40回もテストを行う情熱を捧げ実現したので温度感が異なる。また、本作への情熱を加熱させた存在として妻・エレンがいる。彼女とフランス旅行をしていた際に廃墟となった家を見つけ、「これ買えるかしら?」とエレンが提案したことから始まった企画なのである。それだけに映画を観ると、異様なテンションで作られていることがよくわかる。

『13ゴースト』あらすじ

A family inherits what proves to be a haunted house, but a special pair of goggles allows them to see their ghostly tormentors.
訳:ある家族がお化け屋敷を受け継いだが、特殊なゴーグルをつけると、お化けが見えるようになる。

IMDbより引用

メガネをかけてごらん、ほら幽霊が1,2,3…

本作は映画の中の役者と観客を繋ぎ止める存在として「メガネ」がある。不思議なメガネを手にした男が、それを装着する。これが合図となっており、観客もメガネをかける。すると薄ぼんやり横一列に並んだ幽霊が暴れ回っているのが見える。そして、観客として神の眼差しを与えるように構図は横となる。メガネをかけた男が、火車と戦う。または、子どもが幽霊ライオンに怯える様子を横スクロールゲームのように提示するのだ。これはある種のPOVであり、幽霊が迫り来る様子は、メガネをかけたことにより登場人物と同じ立場から事象を目撃する様子を捉えている。そしてその没入をすぐさま、客観視する横の構図にすることで映画における神の眼差しを観客へ返却しているのだ。この切り替えの鋭さは興味深い。

また映画としての空間造形も素晴らしい。序盤に妻と電話をする場面がある。妻のいる場所は、不自然に右半分がガラ空きとなっている。その理由はすぐわかる。夫と妻との電話のやりとりを、斜めに切ったスプリットスクリーンで展開していくのだ。これにより、謎の空間は一気に消滅する。そして、妻の目線は、分割された画を破るように夫へと注がれる。だが、夫の目線は下を向いて交わることがない。これにより微妙に温度感が違う電話でのやりとりが表現されている。この芸の細かさは、幽霊描写以上に重要だとみている。

さて、この映画2001年にリメイクされている。ウィリアム・キャッスル版のカラクリ屋敷レベルを1とするならば、リメイク版はレベル100となっていて、併せて観ると爆笑間違いないでしょう(リメイク版も大好きです)。

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