『A WOMAN ESCAPES』Sofia Bohdanowiczの部分3D映画

A WOMAN ESCAPES(2022)

監督:Sofia Bohdanowicz、Burak Cevik、Blake Williams
出演:Deragh Campbell

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

今、密かに注目されているSofia Bohdanowicz監督の新作がどうも一部分3Dの映画らしい。実際に観てみた。とはいえ、3Dで観ることはできないので、画面に表示される「3Dシーン」マークを確認しながら観てみた。

『A WOMAN ESCAPES』あらすじ

A woman moves to Paris to tend to the home of a recently deceased friend and begins a video correspondence with filmmakers Burak and Blake, an interaction that is initially healing but is not what it seems.
訳:最近亡くなった友人の家を手入れするためにパリに引っ越してきた女性は、映像作家のBurakとBlakeとビデオで文通を始める。最初は癒されるが、その交流は見かけによらない。

IMDbより引用

Sofia Bohdanowiczの部分3D映画

ロベール・ブレッソン『抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-』からタイトルを引用している『A WOMAN ESCAPES』は、喪失感の表象として3Dが用いられている。亡くなった友人の家を整理刷するためパリにやってきた女性。小型3Dカメラを見つける。そこにはビデオ文通が収められていて、彼女は失われた記憶を繋ぎ止めていく。隅に置かれたガラスを捉える。定点撮影のように割れて、土に還ろうとするガラスが収められる。記憶とは、線としての時間が分割されて圧縮されたある種のダイジェストである。このビデオ映像は、断片的な点からなる記憶を記録として焼き付けていることが分かる。3Dを用いることにより、観客は他者の記憶の中へ没入する感覚を疑似体験することができる。印象的なのはGoogle Mapsのストリートビューを使ったシーンだ。ストリートビューには、過去のその地点の景色が焼き付いている。それを通じて土地に対する感情が刺激されていくのだが、突然、ストリートビューを高速に引き伸ばして現実離れした画が現出する。これは、我々が画を通じてその場所の情景を思い出す時、それは自分の脳内に仮想的に空間を生み出すことであり、現実に存在したものと全く同じものではないことを表しているのだろう。過去に想いを馳せることは、ある種仮想世界に没入することと言える。

Sofia Bohdanowicz、Burak Cevik、Blake Williamsの3監督が3D演出を通じて記憶を哲学的に紐解いていく。そこに新鮮さを抱いた。

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