『ISTVÁN, A KIRÁLY – ÖSBEMUTATÓ』ハンガリーで大ヒットしたロックオペラ

ISTVÁN, A KIRÁLY – ÖSBEMUTATÓ(1984)
Stephen, the King

監督:Gábor Koltay
出演:Gyula Vikidál,László Pelsöczy,Miklós Varga etc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Eastern European Moviesで映画を漁っていたらハンガリーで大ヒットしたロックオペラを見つけた。本作はMiklós Boldizsárの戯曲「Ezredforduló」の映画化。ハンガリーの初代国王イシュトヴァーン1世とコッパーニュの戦いをロックオペラに仕立て上げている。ロックオペラ好きとしてはかなり熱い作品でありました。

『ISTVÁN, A KIRÁLY – ÖSBEMUTATÓ』あらすじ

After the death of Géza, the Hungarian monarch, his son István and his brother Koppány gets in a conflict for the Hungarian throne. Their battle should settle the fate of Hungary: whether it adopts Christianity or remains in Paganism.
訳:ハンガリーの君主ゲーザの死後、その息子イシュトヴァーンと弟コッパーニュがハンガリー王位をめぐって争う。彼らの戦いは、ハンガリーがキリスト教を導入するか、それとも異教徒のままであるかという運命を決めることになる。

※IMDbより引用

ハンガリーで大ヒットしたロックオペラ

キリスト教の国を作るためにゲーザ公が布教活動を行なっていた。彼の死後、その精神は息子のイシュトヴァーンに引き継がれた。しかし、そこに民衆を従えるカリスマ・コッパーニュが現れて激突する。

本作は明らかに『ジーザス・クライスト・スーパースター』の影響を受けた作品であり、曲調もどこか似ているところがある。しかし、演出面で新鮮でパワフルなものを突きつけていくのでドンドンと惹き込まれていく。冒頭、十字架を持った者が丘を上がっていく。その手前に、十字架を持った者たちの影を重ね合わせる。右から、左から前から人が集まってくる。キリスト教が荘厳に堅実に信者を固めていく姿に説得力がある。それに対して、マッドマックスさながらの荒々しいファッションで民衆を煽動していくコッパーニュが映される。光と闇のバチバチしたぶつかり合いを、群衆が手を繋ぎ、輪になって盛り上げていく。このマスゲームが、ヤンチョー・ミクローシュ映画を彷彿させる怪しく甘美な動きを形成していく。そしてカメラは、群衆の中に飛び込み、観る者を戦乱の渦中へと引き摺り込む。

一見すると、舞台をそのまま映したようなルックに見えるが、細かい演出で映画に昇華させているので心地よい。例えば、群衆が踊り狂う様子をスローモーションにして残像を重ねることで霊的なものを増幅させているのだ。

これは映画館で観たらバイブスが上がる作品でした。音楽がとてもカッコいいので興味あればEastern European Moviesで挑戦してみてはいかがでしょうか?

Eastern European Moviesより引用

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