『グッド・シェパード』組織政治に巻き込まれるまでの轍

グッド・シェパード(2006)
THE GOOD SHEPHERD

監督:ロバート・デ・ニーロ
出演:マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー、アレック・ボールドウィン、タミー・ブランチャード、ビリー・クラダップ、ロバート・デ・ニーロ、ケア・デュリア、マイケル・ガンボン、マルティナ・ゲデック、ウィリアム・ハートetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

アニメ『SPY×FAMILY』を観ていたら無性にスパイ映画を観たくなった。そこで長年観ようと思っていた『グッド・シェパード』に挑戦してみた。本作は、私が中学生ぐらいの時に観ようか迷っていたら、父親から「ちょっと難しいかもよ」と言われ躊躇した作品である。今なら大丈夫かもしれないと挑戦したわけですが、これがサラリーマンに刺さる作品であった。

『グッド・シェパード』あらすじ

監督デビュー作「ブロンクス物語」以来13年ぶりとなる名優ロバート・デ・ニーロによる監督第2作。アメリカが誇る世界最大の諜報機関であるCIAの誕生秘話と、そこに身を投じた一人の男の葛藤を壮大なスケールで描く話題作。第2次大戦前夜のアメリカ東海岸。名門イェール大学のエリート学生だったエドワード(デイモン)は軍からスカウトされCIAの前身である戦略事務局(OSS)の一員として国家の諜報活動に従事していくが……。脚本は「フォレスト・ガンプ/一期一会」「インサイダー」のエリック・ロス。

映画.comより引用

組織政治に巻き込まれるまでの轍

革命により共産主義政権に変わったキューバを転覆させるために極秘の任務がCIAで行われる。完璧に思えた計画は、内部からの情報漏洩で失敗してしまう。組織の人間は腹を括って絶望の時を過ごす。スパイ容疑をかけられそうになっているエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)はふと思い出した。何故、自分がここにいるのかを。自殺した父親の言葉を守り、自殺であることを隠し通した彼は、ひょこんなことからスパイに勧誘される。最初のミッション。ターゲットから文書を盗むことだった。パーティの中、ターゲットの目を掻い潜り、バックを入手しトイレに篭る。扉が叩かれる。急いで書類をメモし、バレる前にカバンを適当な場所へと隠す。これが彼の最初の仕事だった。やがて恋人ができ、結婚する。しかし、世界を飛び回り平和、正義のために暗躍する必要のある彼は、妻に真実を伝えることのできぬまま、出張に出かける。作戦は、複雑かつ緻密さを求められる。信じられるのは自分だけである。そんな生活に妻は耐えられなくなっていく。大人になるとしがらみが多くなってくる。抜群と洞察力と冷静さで仕事をしてきた彼が、家庭、仕事における政治に巻き込まれ窮地に陥る。どちらを向いても地獄しかないのだが、それでも前へ進んでいかないといけないヒリヒリとする手触りが全編に行き届いていて面白かった。ロバート・デ・ニーロは監督二作目でありながら、複雑な人間ドラマを確かなカット割りで紡いでいく。職人のような映画作りにも驚かされた。なお、本作は第57回ベルリン国際映画祭で芸術貢献賞を受賞しており、それは何故かなと思って調べたら、コンペティションのラインナップが渋すぎたのが原因だった模様。

※映画.comより引用