ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明(1991)
原題:武状元黄飛鴻
英題:Once Upon a Time in China
監督:ツイ・ハーク
出演:ジェット・リー、ロザマンド・クワン、ユン・ピョウ、ジャッキー・チュン、ケント・チェン、ウー・マetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
香港映画はあまり観ないのでたまには挑戦してみようと「死ぬまでに観たい映画1001本」に掲載されているツイ・ハーク監督の人気シリーズ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』にを観てみました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』あらすじ
19世紀半ばに実在した、希代の英雄・黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)。この香港映画史上最も有名なキャラクターを、ツイ・ハーク&リー・リンチェイという夢のコンビが、まったく新たに映像化した作品。現代アクション映画に押されていた香港映画界に、新たに“古装片”ブームを巻き起こした。舞台は英米列強が幅を利かせる動乱の時代の中国。英軍の陰謀を叩こうとする黄の前に、最強最大の武道家が立ちはだかる……。ツイ・ハーク得意のワイアー・アクションが冴える功夫シーンが最大の見どころ。許婚の若い叔母役のロザマンド・クワンが花を添える。
ハシゴはぶつけるもの
正直、話自体はそこまで面白くない。英米列強に舐められている中国が、拳で未来を掴もうとする話だ。序盤は、怪我の治療で腕がかちんこちんに硬められた状態で新技を生み出し興奮する小ボケなどが入り、終盤に差し掛かるとシリアスになってくるちょっと前のジャンプ漫画のような王道展開を魅せる。よくある香港アクションねと思って寛ぎながら観ていた。
しかしながら、終盤、倉庫でのアクションを観た時、この映画はこのアクションの為にあったのかと電撃が走った。その壮絶さ、執拗に異常な空間を捉えていく姿に魅了されたのだ。
倉庫で、追う者/追われる者のチェイスが始まる。部材を軽妙にピョンピョン飛び跳ねながら移動する。それを、部材をひっぺはがし、達磨落としのようにして捕まえようとする。ひっぺ剥がされた部材によって新たな窪みができ、そこに向かって飛び込む。時には散乱する大きな部材を投げる。大乱闘スマッシュブラザーズでしか観ないような光景がまさに現実で起きているのです。
また、2階の狭い通路でのアクション。カメラは少し離れた場所から、まるでファミコンゲームのようなアングルで戦闘を見守る。底が抜け、2階と1階の高低差を利用したもみくちゃなバトルが展開されていく。戦闘というのは刻一刻と状況が変わる中で戦術を変えていく。建物も超人が集まると、破壊によって姿形が変わっていくのだ。そのような状況下で、ハシゴが中を舞う。もはや昇るものから橋として渡るもの、投げて相手にダメージを与えるものへと変化を遂げ、中央付近に収斂する。我々が指を咥えてボーッとしている間に、繊細なオブジェが爆誕しているのだ。
映画とは我々に非現実の世界をちょっぴり味わせてくれるもの。せっかく味わうのであれば、全く経験したこともない味に触れたくなる。それを叶えてくれたのはこの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』であった。
※映画.comより画像引用