微笑むブーデ夫人(1922)
La Souriante Madame Beudet
監督:ジェルメーヌ・デュラック
出演:ジュルメーヌ・デスモス
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。『死ぬまでに観たい映画1001本』もサイレント映画が結構残っているので、積極的に観るようにしている。今回観賞したのは『La Souriante Madame Beudet』だ。自分の持っている2011年版では原題表記しかされていなかったのですが、実は2006年のパリ・アヴァンギャルド映画の全貌特集で上映されているので、翻訳者の調査不足が伺える。『幕間』、『バレエ・メカニック』、『アッシャー家の末裔』等と一緒に紹介された本作は、映画史初期のフェミニスト映画の代表とも言える作品。主婦として退屈な生活を強いられている女性の怒りを表象している。ということは、『SWALLOW』の原石とも言えるわけだ。というわけで挑戦してみた。
『微笑むブーデ夫人』あらすじ
An unhappily married woman devises a scheme to get rid of her husband.
訳:不幸な結婚生活を送っていた女性が、夫を追い出すための策略を練る。
※IMDb.comより引用
TAKE ON MEと静かに微笑むブーデ夫人
本作は、玉の輿に乗るはいいものの主婦として生きる生活に息苦しさを感じ、夫を殺そうとするものの未遂に終わり、夫を殺すという企みすら彼に理解されないという内容。『青春の殺人者』における企てすら誰にも理解されない苦悩というものを描いているのだが、今観るとその物語自体に新鮮さは感じられず退屈に思ってしまうのだが、本作で注目すべきポイントはそちらよりも斬新な画の作り方にある。ブーベ夫人が妄想すると、背景が黒く切り取られた画が浮かび上がるのだ。そこに手紙を配置したり、人を配置したりするのだが、それが妙にカッコいい。
そして、なんとa-haの”TAKE ON ME”みたいな場面が登場するのだ。ブーベ夫人が新聞を読んでいると、新聞に掲載されているテニスプレイヤーが浮かび上がり、そろりそろりと夫のとこへ歩み寄り、魂ごと引っこ抜いてしまうのだ。このすれ違いざまに魂を抜く演出の妙はもっと言及されていいのではと思う。
また、彼女の悪夢を巨大な顔と小さなブーベ夫人という構図で描くのも魅力的だったりする。
内容はともかく、サイレント映画時代の画で勝負する気概に満ち溢れた作品でありました。
※画像はIMDb.comより引用
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