【 #サンクスシアター 7 】『ウルフなシッシー』映画であることを諦めてしまっている

ウルフなシッシー(2018)

監督:大野大輔
出演:根矢涼香、大野大輔、真柳美苗、中村だいぞうetc

評価:15点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

MiniTheaterAIDのリターンであるサンクスシアターで『ウルフなシッシー』を観ました。本作は、何年か前に《映画ファンの集い》で紹介されていた作品。上映館の都合で公開当時観られなかったので、これを機に挑戦してみました。

『ウルフなシッシー』あらすじ


男と女の痴話ゲンカをシニカルに描いたコメディ。売れない女優アヤコは、舞台のオーディションに落選した憂さ晴らしのため、こじゃれたバーで親友ミキと盛り上がっていた。そんなさなか、アヤコの彼氏の新米AV監督・辰夫が呼んでもないのに彼女たちの前に現れる。アヤコと辰夫は破局寸前の微妙な関係。空気を読まない辰夫によって、場の空気が一気に険悪なムードへと変わっていく。ミキが帰り、残された辰夫と泥酔したアヤコは互いの不平不満を吐き出し、罵詈雑言の応酬へと突入する。監督、主演は本作が初の劇場公開作品となる大野大輔。2017年のTAMA NEW WAVEコンペティションで、グランプリ、ベスト男優賞、女優賞を受賞。
映画.comより引用

映画であることを諦めてしまっている

映画ワークショップ。講師が偉そうに席で踏ん反り返っているのだが、次の場面では参加者の一人にガチギレされてヘコヘコしている。どうもワークショップ界隈は闇深いらしく、『旧支配者のキャロル』や『VIDEOPHOBIA』といった作品で度々講師がカウンターされている。ひょっとしてクリエーターは、ワークショップで講師を虐めることにより復讐を果たしているのではないだろうか?さて、本作は底辺映画業界の鬱屈した憎悪が渦巻いている。官能映画の撮影の際に、先端恐怖症だと語る女優の意見を押し切ろうとしてガンギレされる男。バーで愚痴を言い合う女優たちの前にその男が現れ一気に気まずいムードになったりする。

そして、舞台は部屋のワンルームに移り、ひたすら男と女が罵り合う。

ジャン・ユスターシュやモーリス・ピアラ的ミニマムな口論劇なのだが、本作は残念ながら鬱屈した映画業界の闇を吐露することが目的化してしまった結果、映画であることすら諦めてしまったようだ。なんということでしょう。映画を観ている間、ずっとノイズ音が意味もなく映画を支配するのだ。大学生が適当に作った映画レベルに音響が全く調整されていない。これを映画館で魅せられたら流石に怒るレベルである。また、画も雑然とした部屋をただ撮っているようにしか見えず、ジャン・ユスターシュのようなこだわりのショットが皆無である。

映画業界の愚痴を言うことで、仲間の同情評を稼ごうとしている魂胆すら見えてくる甘ったれた映画にしか見えず、正直厳しい作品でありました。

※映画.comより画像引用

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