『ZANKA CONTACT』モロッコの暑苦しい音楽恋愛劇

ザンカ・コンタクト(2020)
ZANKA CONTACT

監督:Ismaël el Iraki
出演:Khansa Batma, Ahmed Hammoud, Saïd Bey etc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第77回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門で女優賞(Khansa Batma)を受賞したモロッコ映画『ZANKA CONTACT』をfestival scopeで観ました。

『ZANKA CONTACT』あらすじ


In hellish Casablanca, a car-crash sets ablaze a burning, passionate love story between has-been rocker Larsen and the streetwise amazon Rajae. An unspoken trauma is their common history; rock ’n’roll their mutual saviour. Larsen’s snakeskin-covered guitar and Rajae’s liquid gold voice could be heaven, if only everything from his drug-induced visions to her music-buff pimp didn’t get in the way. The only hope for their blooming romance is to skip this ferocious town. Is there a way out of this crazy Moroccan underworld with its menagerie of sadistic cops, venomous snakes, metal concerts and shotgun-wielding modern-day Calamity Janes? For these punk Romeo and Juliet, maybe the answer lies in a song—the one they’ve been writing and dreaming together: Zanka Contact.
訳:地獄のようなカサブランカを舞台に、車の事故がきっかけとなって、ロック界の若き日のラーセンと、ストリートに精通したアマゾンのラジェとの間で、燃え上がるような情熱的なラブストーリーが展開されていく。二人の共通の歴史は語られることのないトラウマであり、ロックンロールは二人の共通の救世主である。ラーセンのヘビ革に覆われたギターとラジェのリキッドゴールドの歌声は、彼のドラッグによる幻覚と彼女の音楽に精通したヒモが邪魔をしなければ、天国になるかもしれない。二人のロマンスが開花するための唯一の希望は、この凶暴な町をスキップすることです。サディスティックな警官、毒蛇、メタルコンサート、散弾銃を振り回す現代のカラミティ・ジェーンなど、この狂ったようなモロッコの裏社会から抜け出す方法はあるのだろうか?このパンクなロミオとジュリエットにとって、その答えは、彼らが一緒に書き、夢見てきた曲にあるのかもしれない。その答えは、彼らが共に書き、夢見てきた曲「Zanka Contact」にあるのかもしれない。
※ヴェネツィア国際映画祭サイトより引用

モロッコの暑苦しい音楽恋愛劇

世渡り上手な街の女Rajae(Khansa Batma)は颯爽と他に乗客がいるのに、タクシーに乗り込みシッシと追い出す。そして意気揚々と、タクシー運転手と世間話をする。一方、ギタリストの男Larsen(Ahmed Hammoud)は車の中で薬物を打とうとしていた。そんな二人は交通事故によって出会う。血だらけのRajaeを下心から介抱することにしたLarsenは、そのまま恋に落ちる。そして二人でセッションをしようと誘う。しかし、Rajaeをモノ扱いする男がこの二人の情事を邪魔するのだ。彼は彼女を助けようとするのだが、ヤク中である彼は幻覚に悩まされる。

モロッコはイスラム文化圏でありながら、酒や音楽にはゆるいイメージがある。そして、本作はそのゆるさが生み出したローカル音楽映画に見える。日本ではなかなか観ることのできない娯楽作品は新鮮だ。モロッコのうだるような暑さに木霊する重いギターの旋律にねっとりとしたKhansa Batmaが絡む。そして西部劇のような銃撃戦のサービスまでついており気軽に楽しめます。

この作品がヴェネチア国際映画祭に出品されるのは意外であったが、その自由さはオリゾンティ部門ならでは。日本公開される気が全くしない作品だけに貴重な映画体験でした。

※ヴェネツィア国際映画祭サイトより画像引用

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