豆大福ものがたり(2013)
監督:沖田修一
出演:菊池亜希子、志賀廣太郎etc
評価:90点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
MiniTheaterAIDのリターンであるサンクスシアター、まだ70本以上観られるのでもうそろそろ本腰入れて観ていかないといけない。というわけで、ラインナップを観ていたら、日本が誇るゆるドラマの名匠・沖田修一の短編映画がありました。これが相変わらずセンス抜群の作品だったのです。
『豆大福ものがたり』あらすじ
女優でモデルの菊池亜希子が編集長を務めるムック本「菊池亜希子ムック マッシュ」(小学館刊)から生まれた企画で、自ら「豆大福バカ」「一日一豆大福がモットー」と公言する菊池のあふれる豆大福愛を詰め込んだショートムービー(本編20分+メイキング映像10分)。世の中の誰もが3時のおやつを希望に生きる、おやつ至上主義の時代。来る「おやつ総選挙」を目前にマカロンやショートケーキ、すあまなど、個性豊かなおやつ候補たちが選挙活動を繰り広げていた。そんな中、豆大福選挙事務所はなかなか伸びない支持率に頭を悩ませ、そのせいで豆大福候補と秘書の関係も悪化しはじめていたが、ある男がやってきて……。「横道世之介」の沖田修一が監督、前田司郎が脚本を担当。
※映画.comより引用
豆大福が出馬!汚職に賄賂にてんやわんや!
「ショートケーキ、ショートケーキをよろしくお願いします。」
ショートケーキが拡声器に向かって語りかける。続けざまに、すあまがパトロン饅頭を召喚し、演説を繰り広げ、フランスから来たマカロンが陰日向で演説する。先日、タンタンメンがロボットに恋する狂気の映画『がんばれいわ!!ロボコン ウララ〜!恋する汁なしタンタンメン!!の巻』を観たばっかりなのだが、またしても食べ物が語り始める異様な作品と邂逅した。やってることはロボコンと大差ないのに、沖田監督の手に掛ると、キメが細かい。
例えば、選挙演説の場面では、「虫歯問題についてどのようにお考えでしょうか?」とプラカードを持った人がいたり、街頭インタビューで明らかにされる無情なまでのマカロン不人気っぷりといった細かいところにまで作り込まれている。そして、豆大福選挙事務所では、豆大福の欠点である、手がべたついてしまう問題や、白い粉が散乱してしまう問題について言及される。出オチ映画でありながらも、豆饅頭の特性を事細かく洗い出すあたりに魅力を感じます。故に、狂気的映画にもかかわらず、狂気を全く感じないのだ。
そんな豆大福候補は、ジョーカーのような悪魔に「力が欲しいか」と唆され、汚職に賄賂で他の候補を買収し始めるのだ。そして、それがバレて記者会見をする。フランス人がフランス語でまくし立てるように問い詰めているのだが、汚職や賄賂は「オショク」、「ワイロ」と日本語で言っているところの外し方にジワリマス。
《La Corruption》でも《Le pot-de-vin》でもないんですね。
こうして汚職で勝ち取った名声は、風の如し、滝の如しすぐ人々から飽きられてしまう。
地に墜ちた豆大福に秘書が手を差し伸べてハッピーエンドとなる。
短編ならではの勢いと自由なアイデアで作られたこの世界観は個人的に大好物でした。
豆大福が食べたくなりました。
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