【ロルフ・デ・ヒーア特集】『Charlie’s Country』森のアボリジニは家が欲しい

チャーリーズ・カントリー(2014)
Charlie’s Country

監督:ロルフ・デ・ヒーア
出演:ルーク・フォード、デイビット・ガルピリル、リッチー・シンガーetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

VHS時代のカルト映画『アブノーマル』以外の作品の知名度があまりに低いオーストラリアの匠ロルフ・デ・ヒーア監督は2000年代以降アボリジニに纏わる作品を何本か撮っている。その代表作にしてアボリジニ・ヨルング族のダンサーであるデイビット・ガルピリルが第67回カンヌ国際映画祭ある視点部門男優賞を受賞した『Charlie’s Country』を観ました。

『Charlie’s Country』あらすじ


Displeased with the intervention of whitefella laws, Charlie takes off to live the old way and sets off a chain reaction of enlightening difficulties.
訳:白人の法律の介入に不満を感じたチャーリーは、昔ながらの生活を送るために旅立ち、啓発的な困難の連鎖反応を起こします。
IMDbより引用

森のアボリジニは家が欲しい

森の中で暮らすアボリジニの男は時たま町へ降り立つ。スーパーへ行っては万引きをしたり、電話している人の胸ポケットからタバコを奪ったり、拾った銃でバッファローを仕留めたりしている。奪ったタバコを吸うのではなく焚き火に投げ入れたりと奇行を繰り返す彼に対して町の警察官はゆるーく扱っている。そんな彼には野望があった。それは「自分の家が欲しい」というものだ。それはある種の比喩となっている。彼に言わせれば、白人どもは自分たちの土地を奪ったとのこと。だから自分はスーパーや警察、人々からモノを奪って良いと考えている。そして、勝手に法律を立てて自分の武器を取り上げたりするところに怒りを覚えている。

そんな彼は「自分の家が欲しい」という願望を叶えるために母なる土地を求め、弓矢を装備して森の深部へと入っていく。そして新しいコミュニティを作ろうとするのだが、社会に対する怒りを爆発させすぎたが為に刑務所へ入れられてしまう。出所後、彼は白人社会、文明に取り込まれ、アボリジニとしての文化が消えていくことを危惧し、文化継承の為ダンスを教えることに尽力していくのだ。

本作は、ペマ・ツェテンの『タルロ』に近い、文明の高慢さに対する微かな反抗を描いた秀作だ。文明は一応、少数民族に対する計らいを施すが、結局侵略者のルール、文明のルールで彼らを縛ろうとする。文明の計らいには欺瞞がつきまとうことをユーモラスに告発している。道の案内人としてチャーリーを都合よく使おうとする人々、そしてチャーリーの力強い反抗は確かに男優賞も納得の代物でありました。

『十艘のカヌー』にも興味が湧きました。

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