ダウ. カーチャ　ターニャ(2020)
DAU. KATYA TANYA

監督:イリヤ・クルザノフスキー、Jekaterina Oertel
出演:Ekaterina Uspina、Tatiana Polozhy、Theodor Currentzis etc

0.1 評価:50点

1 『DAU. KATYA TANYA』あらすじ
2 男に消費され、女に癒しを求める。ちょっと陳腐かなぁ
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評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

《DAU》ユニバース最新作『DAU. KATYA TANYA』を観ました。本作では作風がガラリと変わっていました。

『DAU. KATYA TANYA』あらすじ

Katya, a young librarian, believes in love, but her ideals are crushed by reality. After a string of disappointing affairs, Katya finally finds tenderness and understanding in the arms of her colleague, a journalist called Tanya. But then the First Department interferes: the state security services see this relationship as unacceptable for a Soviet woman.
訳:若い司書のカーチャは愛を信じていたが、その理想は現実に押しつぶされてしまう。失望の連続の後、カーチャは同僚のジャーナリスト、ターニャの腕の中に優しさと理解を見いだす。しかし、そこへ第一部局が干渉してきた。
※DAU公式サイトより引用

男に消費され、女に癒しを求める。ちょっと陳腐かなぁ

今回の主人公は図書館司書KATYAである。彼女は司書として働きながら、Efimovとの恋愛も順調であったが、彼は戦死してしまう。時は10年後、彼女は喪失感を抱きながら働いているが、彼女の前に男が群がる。あのクズ男ランダウはNORAがいるというのにKATYAに手を出そうとしている。おっさんは暴力的で、強姦に近い状態で彼女の心身を蝕む。すっかり男性不信になった彼女の前に、ジャーナリストのTANYAが現れる。TANYAは自分の悲愴をスポンジのように吸収してくれる。そんな彼女にいつしか肉体を捧げ始めるのだ。

日本のB級官能映画にありがちな抑圧により同性愛に目覚めるクリシェをこの回では披露している。失恋、それ以前に戦争で大事な人を失った喪失感と、抑圧された社会によって歪む感情をイリヤ・クルザノフスキーは毎回描いているが、今回は恋愛対象のメタモルフォーゼというものを映画の中で投影させた。

しかし、石井隆や城定秀夫の作品に慣れてしまっているので、同性愛ものの型をそのまま継承し、そこからイリヤ・クルザノフスキーの色を作り出せていない本作はただただ陳腐であった。また、DAUのクズ演出は、前作で出尽くした感があるので、焼き直しになってしまっているのが否めない。もう少し違ったDAUの顔を観てみたいというのが、《DAU》ユニバースファンの心境である。一方で、従来の《DAU》ユニバースとは違い、フェードアウトによる場面切り替えが多く使われ、それによってKATYAの失われた時間という行間を味わい深いものにさせているのは面白い発見であった。

さて、もうそろそろ3時間以上級の大物が現れそうだが果たして…