『夢の涯てまでも』テクノロジーで世界が狭くなる境界線

夢の涯てまでも(1991)
UNTIL THE END OF THE WORLD

監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ウィリアム・ハート、ソルヴェーグ・ドマルタン、サム・ニール、笠智衆etc

評価:60点

ヴィム・ヴェンダース嫌いな淀川長治がボロクソに酷評した『夢の涯てまでも』ですが、先日クライテリオンから出た5時間版の評判が高いらしいので買ってみました(本当はジャケットデザインがカッコいいから買った)。ヴィム・ヴェンダースの劇映画が苦手なブンブンでも十分楽しむことができました。

『夢の涯てまでも』あらすじ


近未来の1999年、滅亡の恐怖におののく世界。ベニスを発ったクレアが道中で何者かに追われる男トレバーと出会う。彼を追うクレアの旅はヨーロッパからロシアを経てアジアへ、そしてオーストラリアへと進む。トレバーは盲目の母の脳に送り込むために、世界中の映像を集めて旅していたのだった……。豪華なキャストによる世界各地でのロケや、最先端のハイビジョン映像を取り入れた手法が話題に。サントラで参加したU2のボノと監督ベンダースが出会った作品。
映画.comより引用

テクノロジーで世界が狭くなる境界線

終末世界を舞台に、イタリア、フランス、ロシア、日本と旅する女性の話。ドライブしていたら、前の車が瓶を投げ捨て、窓ガラスは大破、そのまま横転するものの(よくよく考えたらあまりに変な車の横転シーンだ)生き残った女性に運命があるという語り口で映画は語られる。

ヴィム・ヴェンダース苦手勢としては案の定、雰囲気映画からくる退屈さがしんどいのですが、90年代における電話と人間の絶妙な距離感を封じ込めた最後の作品としてめちゃくちゃ面白かった。今や、スマホで鮮明な映像が観られ、世界中のあらゆる情報にアクセスできる。しかし、90年代において、まだテレビ電話も新鮮な時代において、情報へアクセスするのはまだ距離感があった。テレビ電話をするのだが、そこには遠くにいるという感情があるのです。

さて、ヴィム・ヴェンダースは先見の明があり、どんな僻地でもテレビ電話がある様は、今やマサイ族でもスマホを持っていることに通じている。

しかし、ヴィム・ヴェンダースの予想に反し、現代人は小さなモノリスを覗き込むばかりで世界の美しさを瞳に焼き付けることはすっかり少なくなってしまった。

そんな人間と自然、そして機械の関係をユニークに描いた作品でした。

※個人的に夢具現化装置開発の場面は長すぎると思いました。

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