『ポルトガル、夏の終わり』テンション低めな英語の教科書

ポルトガル、夏の終わり(2019)
Frankie

監督:アイラ・サックス
出演:アイラ・サックス、マウリシオ・ザカリーアス、イザベル・ユペールetc

評価:10点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第73回カンヌ国際映画祭が延期となり、そのまま消滅する気配がする中、一人寂しく自主カンヌ国際映画祭をしている。大分昨年のカンヌ国際映画祭コンペティション作品を制覇してきたのですが、一本気乗りがしない作品があった。それが『ポルトガル、夏の終わり』である。『Keep the Lights On』、『人生は小説よりも奇なり』、『リトル・メン』で上品な会話劇を描いてきたアイラ・サックスが大爆死した作品。有識者曰く、虚無が広がる観光映画とのこと。あまり会話劇が好きではない私は一気に観賞意欲が削がれたのですが、ここはカンヌ2019をコンプリートしたいところ。意を決して観賞してみました。

『ポルトガル、夏の終わり』あらすじ


「エル ELLE」のイザベル・ユペールが主演を務め、ポルトガルの世界遺産の町シントラの美しく幻想的な風景を舞台に描いた人間ドラマ。ヨーロッパを代表する女優フランキーは自らの死期を悟り、「夏の終わりのバケーション」と称して一族と親友をシントラに呼び寄せる。彼女は自分の亡き後も愛する者たちが問題なく暮らしていけるよう、すべての段取りを整えようとしていた。しかし、それぞれ問題を抱える彼らの選択は、フランキーの思い描いていた筋書きを大きく外れていく。共演に「ロンドン、人生はじめます」のブレンダン・グリーソン、「スパイダーマン」シリーズのマリサ・トメイ、「2重螺旋の恋人」のジェレミー・レニエ。監督・脚本は「人生は小説よりも奇なり」のアイラ・サックス。2019年・第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
映画.comより引用

テンション低めな英語の教科書

1995年に世界遺産登録されたポルトガル・シントラは12世紀半ばにアルフォンソ1世がイスラム教徒の支配下からリスボンを奪還するレコンキスタによりキリスト教徒の町となった歴史を持つ。それ故にイスラーム文化とポルトガル文化が織り混ざったユニークな建築が独特な文化景観を形成し、ポルトガル王室御用達の避暑地として文化が形成されてきた。

そんなシントラを舞台に、イザベル・ユペールやジェレミー・レニエ、マリサ・トメイと国際色豊かな俳優が、エリック・ロメールを彷彿させるバカンス会話劇を繰り広げた。しかしながら、エリック・ロメールのような清々しさはおろか、ひたすらに興味が持てない会話の数珠つなぎですっかり参ってしまった。例えるならば、英語の教科書に載っている短い寸劇といったところだろう。いや、本作を観れば、いかに英語の教科書の寸劇がテンション高いのかが分かる。

What is it?
It is a pen!

Hello, how are you?
I’m fine thank you!

といった会話がとてつもなく面白い会話に感じるのだ。

そもそも、どうしてバカンス映画だというのに、出てくる登場人物がこぞって直立で会話をしなければならないのか?ビーチで粋なカクテルを持ってスノッブな会話をしてもおかしくないのに、神妙な面持ちで議論を交し続ける。いくらバカンスの爽快感とギクシャクした家族を対比させようにも露骨すぎて違和感がありすぎる。その癖して、やたらとフォトジェニックな構図を意識し、それでもって時折カメラが微妙にぐらつくミスショットをチマチマ連発するので、溜息しかでなかった。

正直、スター・ウォーズの新シリーズがどうこうといった映画ファンに媚び売ったような会話ですら裏目に出てしまっている、これぞ虚無の荒野といった感じの作品でした。

ブロトピ:映画ブログ更新
ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です