『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』It’s My Life

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019)
Little Women

監督:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン、フローレンス・ピュー、エマ・ワトソン、ティモシー・シャラメetc

評価:55点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

新型コロナウイルスの影響で初夏に公開延期となったグレタ・ガーウィグの『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を観ました。ルイーザ・メイ・オルコットの『若草物語』7度目の映画化とのことですが果たして…

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』あらすじ


「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再タッグを組み、ルイザ・メイ・オルコットの名作小説「若草物語」を新たな視点で映画化。南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる幼なじみローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……。幼なじみローリーを「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメ、長女メグを「美女と野獣」のエマ・ワトソン、末っ子エイミーを「ミッドサマー」のフローレンス・ピュー、ジョーの人生に大きな影響を与えるマーチ叔母をメリル・ストリープがそれぞれ演じる。第92回アカデミー賞では作品賞はじめ計6部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した。
映画.comより引用

It’s My Life

ボン・ジョビかく語りき。

I ain’t gonna be just a face in the crowd

You’re gonna hear my voice

When I shout it out loud

It’s my life

『若草物語』は“OUR”の物語なのに、邦題が『ストーリー・オブ・マイライフ』となり密かに炎上しているが、モブキャラになることから逃れるように自分の人生を掴もうとする様を讃えた『It’s My Life』を脳裏に浮かべることを想定していたとするならば、なかなか鋭い邦題だと思う。

閑話休題、グレタ・ガーウィグ映画は昨今の女性ファーストな映画群から一歩抜け、2020年代を代表とする映画監督になれそうだと思っている。

一見、彼女の作品は、女性が!女性が!主張が激しいフェミニズム映画に見えるのだが、女性版『ゴーストバスターズ』や『オーシャンズ8』が単に男女を裏返しただけの作品に留まっているのに反して、社会の枠から飛び出そうとする人を描いているだけに、2020年代映画が目指すべき精神的男女平等を掴みかけています。

それは、フェミニズム小説の代表とも言える『若草物語』にも現れている。マーヴィン・ルロイ版では、男性的になろうとし男性になれない様を豪傑下品な振る舞いで皮肉的に描かれていたが、本作におけるシアーシャ・ローナンの男性的振る舞いはエレガントに仕上がっている。『アンナ・カレーニナ』のジャクリーヌ・デュランが手がける、雅なオーラを彼女は巧みに操り、小説家になる夢か、貴族と結ばれる安定かの揺らぎを駆け抜けて見せる。

マーヴィン・ルロイ版が持つ粗暴さを取り除き、純粋に夢を掴みに行く人の尊さを捉えているのです。

ただ、グレタ・ガーウィグは案の定、挿話と挿話、点と点を結ぶのは得意ではないらしく『レディ・バード』程ではないが割と散らかった映画というイメージが強かった。『若草物語』自体、あまり好きではないのもありテンション低めですが、グレタ・ガーウィグは今後も注目な監督です。

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