【フィリピン映画特集】『バッチ ’81』フィリピンの連合赤軍は死体が蒸発する

バッチ ’81(1982)
Batch ’81

監督:マイク・デ・レオン
出演:マーク・ギル、サンディー・アンドロング、ワード・ルアーカ、ノエル・トリニダードetc

評価:90点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日アテネフランセの特集上映《フィリピン映画生誕百周年記念 フィリピン・シネマ・クラシックス》に行ってきました。『インシアン』、『奇跡の女』そして日本初公開『バッチ ’81』を観たのですが、全て映画内の治安が悪すぎて驚愕しました。そしてこの日本初公開作品『バッチ ’81』はマルコス政権下の独裁・監視国家を大学のサークルレベルに落とし込んだ凄まじい作品でありました。

『バッチ ’81』あらすじ


大学生のシドは、名誉ある友愛会「アルファ・カッパ・オメガ」に入会すべく、拷問にも近い厳しい試練を受ける。精神的にも肉体的にも痛めつけられる過程で、当初15人いた希望者が半年後には半数以下まで激減する。ともに困難を克服する中で、残った7人には連帯が生まれるが、さらなる苦難が彼らを襲う。本作に含まれる過激な内容は、当時のフィリピン社会に大きな衝撃を与えた。第二黄金期を牽引したマイク・デ・レオンの真骨頂。
※アテネフランセより引用

フィリピンの連合赤軍は死体が蒸発する

親の期待を背に医学部に入学したシドは、遅刻常習犯。今日も先生に怒られたのだが、彼には授業よりも大事なことがあった。それは憧れにの友愛会《ΑΚΩ》での活動であった。大学には友愛会があり、どの友愛会に入るかで大学の充実度が変わってくる。彼は、先輩の激しいしごきに耐え、《ΑΚΩ》に入る。そして、文化祭(?)であるUPAKAN’81に向けて準備をしていた。友愛会に入ったシドは「Yes,Master!」と先輩に従う。入会しても、下っ端故に強烈なしごきは続く。

誕生日イベントだからと皆でワイワイビールを飲もうという話になるのだが、突然先輩が、「今飲んだビールを吐き戻せ」と言い始める。そして、皆の唾がじとっ入ったブツを回し飲みするよう強要してくるのだ。また、裏切り者の下っ端を電気椅子にかけ、強烈な拷問を行い、下っ端仲間の忠誠心を試し始めたりするのだ。しかもタチが悪いことに、この電気椅子拷問はフェイクであることが分かってくる。下っ端が団結し、革命を起こさないように、常に共犯関係になるようなしごきを施す先輩の狂気は、観ていて非常に怖い。そして結局、友愛会の得体の知れなさにゾッとしてきます。

何よりも、あれだけしごきに力を入れているのに、UPAKAN’81での《キャバレー》の演目は非常に完成度が高かったり、友愛会同士の抗争で人が亡くなっているのに、「交通事故」で安易に処理され、死体が蒸発していくところは、マルコス政権特有の恐ろしさが滲み出ていていました。

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