【ネタバレ】『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』それは誤訳ですらない

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019)
Les traducteurs

監督:レジス・ロワンサル
出演:ランベール・ウィルソン、オルガ・キュリレンコ、アレックス・ロウザーetc

評価:30点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Twitter界隈で評判の高いミステリー『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』。論理的思考が苦手なブンブンはミステリー映画が苦手なのですが、『ナイブズ・アウト』でこのジャンルに興味を示し、新宿ピカデリーへ行ってきました。

『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』あらすじ


世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」をはじめとするダン・ブラウンの小説「ロバート・ラングドン」シリーズの出版秘話をもとにしたミステリー映画。シリーズ4作目「インフェルノ」出版時、違法流出防止のため各国の翻訳家たちを秘密の地下室に隔離して翻訳を行ったという前代未聞のエピソードを題材に描く。フランスの人里離れた村にある洋館。全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時発売に向けて、9人の翻訳家が集められた。翻訳家たちは外部との接触を一切禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿を翻訳していく。しかしある夜、出版社社長のもとに「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。社長役に「神々と男たち」のランベール・ウィルソン、翻訳家役に「007 慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコ、「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のアレックス・ロウザー。「タイピスト!」のレジス・ロワンサルが監督・脚本を手がけた。
映画.comより引用

それは誤訳ですらない

どうやら観客の訳が誤訳と化す作品のようですが、誤訳というよりかは翻訳:戸田奈津子。いや、戸田奈津子のやややケッタイなコミカルさすらないただの《暴訳》で残念な感じでした。

本作は、地下室に缶詰になり翻訳作業を行う過程で、機密である基の小説の内容が流出してんやわんやする場面と、その後の関係者の告白パートに分かれ、それをごちゃごちゃ複雑に織り交ぜているのですが、登場人物をイタズラに動かしているだけで、汁が麺に絡んでいないダメダメラーメンとなっています。そこで、トリックが明かされていくのですが、後出しジャンケンそのもので、予想もできなければ、その手口の鮮やかさもない。翻訳者がグルとなって、社長から原稿を盗み出す。予め計画されてましたよと後から言われるのだが、密室のあの本が沢山並んでおり、セキュリティの厳しい空間のようで意外となんでも持ち込めてしまうあの空間の意味がそれだとなくなってしまう。しかも、タチの悪いことに、さらに後から、事前に原稿を盗む作戦もフェイクだったと言い始めるので頭を抱えます。私が一番嫌いな後出しジャンケン映画ではありませんか。しかもそのトリックが真新しい演出かと訊かれても、他ジャンルにありがちな描写となっている。まあまあ面白いサスペンスで止まってしまっているのです。

さらに、折角9人の翻訳家を集めているのに、言語を使った演出があまりにも弱く、別に9人も役者は要らなかったのではと思ってしまう。一番、よくないなと感じたのは、発狂した社長を取り押さえるために、翻訳者が一致団結していろんな言語で息を整えていく場面。最後の合図を何語で行くのか、悩んだ挙句で中国語を選択するのだが、いや流石に社長も「イー、アル、サン」ぐらいは分かるでしょうと思ってしまう。そこはギリシャ語(エナ、ディオ、トリス)などといったちょっとマイナー言語でいかないと本作における言語を操るものの言葉を使ったアクションは映えないのではと思ってしまう。

監督が大傑作『タイピスト!』のレジス・ロワンサルと知り、なんでこうなっちゃったの?と思ってしまった作品でした。

P.S.本作の音楽担当が、『人間失格 太宰治と3人の女たち』の三宅純でした。

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