つつんで、ひらいて(2019)
Book-Paper-Scissors
監督:広瀬奈々子
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
先日、渋谷イメージ・フォーラムで広瀬奈々子監督の『つつんで、ひらいて』を観ました。本作は第20回東京フィルメックスでスペシャル・メンションを受賞。広瀬奈々子は2年連続同祭でスペシャル・メンションを受賞することとなった。そんな本作は、本作りに携わる人を描いたドキュメンタリーである。
『つつんで、ひらいて』あらすじ
「夜明け」の広瀬奈々子監督が、ブックデザイン界の第一人者・菊地信義を追ったドキュメンタリー。ブックデザイナーの菊地信義は独立から40年、中上健次や古井由吉、俵万智、金原ひとみらの著作1万5000冊以上の装幀を手がけ、日本のブックデザイン界をリードし続けてきた。インターネットが日常的になり、デジタル全盛の時代にあって、紙の本にこだわり、紙と文字を触りながら手作業で一冊ずつ本をデザインする菊地の指先から、印刷、製本に至る過程を見つめ、ものづくりの原点を探っていく。是枝裕和、西川美和の下で助監督などを経験し、「夜明け」で監督デビューを果たしたばかりの広瀬監督が、2015年から3年間かけて撮影し、完成させた。2019年・第20回東京フィルメックスでスペシャル・メンション受賞。
※映画.comより引用
本好き必見!本の表紙ができるまで
「戦後派」と書かれた紙をクシャクシャと丸めていく、そして引っ張っていき、その紙を真剣に眺める男がいた。菊地信義は40年近く、装幀師として、本のデザインを作り続けてきた男だ。彼は、もう年齢が年齢なので静かにフェードアウトしようと考えている。それでも、彼は一つ一つの仕事に全力を注ぐ。紙を重ね合わせて層を形成してみたり、納得がいくまで、生産終了した紙の残量を気にしつつも色に拘ったりする。そんなプロフェッショナル菊地信義の本好きでもなかなか気にする事のない「表紙」の流儀を余す事なくみせていきます。
彼の往年の作品も魅せてくれて、本の常識が覆る様に驚かされる。ブックカバーが奇怪に分解できたり、表紙にタイトル以上にデカデカとキャッチコピーを描いて魅せたり、斬新な作品があまりにも多いのだ。
ただ、個人的には菊地信義が後継者を育てる場面を観たかったのが正直な感想。引退を前に、彼は自分の仕事に満足していないことを語る。そして後継者のこともチラつかせるのだが、恐らく後継者育成を真剣には考えていない、あるいは育てる気力が残されていないのだろう。映画は全く弟子や後継者の存在が見えずして終わってしまう。それは、伝統の死を表しているようにも見えて悲しくなりました。
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