アトランティス(2019)
Atlantis
監督:ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ
出演:アンドリー・リマルーク、リュドミラ・ビレカ、ワシール・アントニャックetc
評価:20点
おはようございます、チェ・ブンブンです。『ザ・トライブ』の撮影監督が監督した作品にしてヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ部門最高賞を受賞した『アトランティス』を観ました。本作は東京国際映画祭でもシネフィルを中心に評判が高く、審査委員特別賞を受賞している。しかし、これが全然乗れませんでした。
『アトランティス』あらすじ
2025年、戦争直後の世界。深いトラウマを抱えた元兵士の男は、身元不明の死体発掘に携わる女性と出会い、自らの過去と向き合う。荒廃した土地を硬質な映像美で描き、驚異のワンシーン・ワンショットに圧倒されるディストピア異色作。
※東京国際映画祭サイトより引用
凡庸な閉塞
本作は所謂閉塞感もので、日本でも賞を狙う作品が扱いやすいテーマ。冒頭のロイ・アンダーソン映画さながらのドライな距離感、そしてマグマに飛び降りる男のギョッとする地獄絵図には興味惹かれたが、後はただひたすらにアート映画気取り、「閉塞感出してるよ」アピールが強すぎる作品でした。
冒頭、二人の男が、揉みあいながら銃を撃つ。これが鬱蒼とした社会におけるストレス発散だと言わんばかりに。そして、次の場面では、恍惚と煌めく工事現場にフォーカスがあたり、うつ病になった男がマグマに飛び降りて死亡する。そして工場は「未来を掴むため」という大義名分で閉鎖する。従業員は次の仕事を求めて、どこへいけばいいか悩み、時に仲間同士いがみ合う。
そして、友が自殺したことに心病む男は、したい発掘のボランティアに携わる女性と道中出会ったことから関係を深めていきます。「ボランティア」という名目で安月給で働かされている彼女と彼はウクライナのどこにもいけない閉塞感を共有し心を通わせていく。それを、シュールな映像で紡ぎだしていくのです。
別にショベルカーで風呂を沸かすシーンを長々と描いてもいいし、そういった描写に面白さを感じるものの、それが上手く物語に絡んでいるとはなかなか思えない。しっかりとウクライナの閉塞感を語る肉付けを行なってほしい。
さも意味ありげにシュールな映像を並べられても退屈でしかないのだ。その退屈さ込みでウクライナを語ろうとしているにしても、それらのシーンの必要性を見出すことができなかった。
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