『Pain and Glory』ペドロ・アルモドバルの落ち着いた自伝映画

ペイン・アンド・グローリー(2019)
原題:Dolor y gloria
英題:Pain and Glory

監督:ペドロ・アルモドバル
出演:アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルス、Asier Etxeandia etc

評価:55点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞し、アカデミー賞前哨戦にあたるハリウッド・フィルム・アワードでも男優賞を受賞したことからアカデミー賞男優賞ノミネートは堅いと言われているアントニオ・バンデラス出演作『Pain and Glory』を観ました。本作は、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルの半自伝的作品。果たして…

『Pain and Glory』あらすじ


A film director reflects on the choices he’s made in life as past and present come crashing down around him.
訳:映画監督は、過去と現在が彼の周りにぶつかってくるように、彼が人生で行った選択を振り返ります。
Imdbより引用

ペドロ・アルモドバルの落ち着いた自伝映画

映画監督は自分の自伝的映画や映画史映画を撮りたがる傾向がある。映画に魅せられた者が製作しているため、大抵の作品は己の感情を爆発させ、自らの持てる力を全て映画に注ぎ込む。しかしながら、ペドロ・アルモドバルは極めて落ち着いた作風で自分の歴史をアントニオ・バンデラスに注ぎ込んだ。本作は『ジュリエッタ』で架空の登場人物が音信不通になった娘との思い出を回想するうちに自分の中にぽっかりと空いた穴を埋める技術を自分の人生に当てはめて描いている。

主人公の映画監督は、もはや映画が撮れなくなっている。カメラを回すことも、映画について考えることも拒もうとしている。薬物に溺れている。そんな彼とは裏腹に色彩豊かなコラージュが画面を覆い尽くす。これは映画監督が無意識に持っている芸術性を表に出せないでいることを象徴しているようだ。本作はタイトルに《栄光》という言葉を使っていることから通常であれば、過去の撮影の楽しかった思い出が映し出されるのだが、彼の回想からは《映画》が欠落しているのです。あるのは母親への愛情。幼少期、母親に飢えていたという思い出が、恋人と悪化する仲や喪失を埋めようとすると同時に「良い子ではなかった」という突き放しが彼を苦しめます。

特徴的なのは、映画の中に労働者という象徴が随所に散りばめられています。労働者を描いた壁画をさも大事そうに映したりする。それは、映画監督という特別な仕事との対義語として労働者が位置しており、もし自分が労働者=一般人という道を選択していたらどんな人生を送っていたのだろうという想いを示唆していると言えよう。

本作は68歳と老年に差し掛かったアルモドバルが人生における選択を反芻する極私的作品であると共に、誰しもが歳を経ると感じる過去への後悔を再構築して自分史という結晶を作る普遍的物語でもある。その落ち着いた語り口、個人的に苦手な作品ではあったのですが、監督の技巧の鋭さに驚かされました。

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