シチリアーノ 裏切りの美学(2019)
The Traitor
監督:マルコ・ベロッキオ
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、Alessio Praticò、ルイジ・ロ・カーショetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。あまり、縁がないマルコ・ベロッキオ映画ですが、カンヌ国際映画祭2019コンペ作品に彼の作品が出品されていたので挑戦してみました。
※日本公開は8/28(金)邦題『シチリアーノ 裏切りの美学』にて!
『シチリアーノ 裏切りの美学』あらすじ
The real life of Tommaso Buscetta the so called “boss of the two worlds”, first mafia informant in Sicily 1980’s.
訳:トンマーゾ・ブシェッタの実際の生活、いわゆる「2つの世界のボス」、1980年代のシチリア島で最初のマフィア情報提供者。
※Imdbより引用
マルコ・ベロッキオの実録抗争劇
本作は警察に情報を売り、マフィアを芋づる式に刑務所送りにしたトンマーゾ・ブシェッタの実録抗争劇である。
前半1時間と後半1時間半で作風が変わるのが特徴で、前半はスコセッシ張りの饒舌な殺戮劇が始まる。左下にカウンタが表示され、人が死ぬ度に名前が表示されるスタイリッシュな作風が特徴的だ。そして、ベロッキオの才能が光るのは、叫び声や助けを乞うセリフを廃し、カットと役者の表情で血みどろな抗争を表現しているところ。
例えば、トンマーゾ・ブシェッタがヘリコプター内で拷問される場面。海は美しいぐらい青いのだが、ヘリコプターの中には顔が血だらけな彼の姿が見える。彼の目線の先には、別のヘリコプターがあり、恋人が海に突き落とされようとしている。彼女を落とすマフィアの視点を挟むことで、高さという恐怖を表現しているのだが、そこには一切のセリフがないのだ。このカッコ良さに痺れました。
しかし、問題は後半。世代間の断絶により、若者がヘロインビジネスに手をつけることが許せなくなったトンマーゾは警察に垂れ込み、大規模裁判に発展する。
そして現代の『シシリーの黒い霧』と言わんばかりの論争劇に発展するのだが、そもそも肝心な世代間ギャップによる裏切りが描ききれていないので、いまいち会話劇から深刻さが伝わってこない。
あれだけ、激しいアクションを1時間繰り広げたのだが、それはダイジェストに過ぎなかったことがよく分かります。似たような構図、裏切り者とファミリー全員を敵に回しても淡々と裏切り行為を働くトンマーゾにいまいち入り込めませんでした。
ブロトピ:映画ブログ更新
コメントを残す