ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019)
The Death of Dick Long
監督:ダニエル・スキナート
出演:マイケル・アボット・ジュニア、バージニア・ニューカム、アンドレ・ハイランド、サラ・ベイカーetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。ダニエル・ラドクリフが七つ道具月死体役として活躍する唯一無二の作品『スイス・アーミー・マン』で一躍有名となったダニエル・スキナートが再びA24と組んでチン作を作りました。その名も『The Death of Dick Long』。直訳すれば、《ディック・ロングの死》なのだが、隠語で訳せば《大きなイチモツの死》というトンデモタイトルとなっています。またポスターを観ると分かるように一見、絵画風に陰影の間に注目人物を置く美しい構図になってはいるものの、男が逸物から花火を噴射している仰天ヴィジュアルとなっています。果たしてどんな作品なんでしょうか?監督曰く、『ファーゴ』や『シンプルプラン』を研究して作った作品とのこと。実際に観てみました。
※邦題『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』で2020年8月7日(金)日本公開決定!
『The Death of Dick Long』あらすじ
Holy Crap. Dick is dead. Died last night after band practice, and his bandmates, Zeke & Earl (Michael Abbott, Jr. & Andre Hyland), don’t want anybody finding out how. That’s too bad though, ‘cause news travels fast in small town Alabama, and these guys suck at covering their tracks. The authorities haven’t ID’d the body just yet, but Zeke’s wife (Virginia Newcomb) and his daughter are suspicious already.From a screenplay by Billy Chew, director Daniel Scheinert (one half of the Swiss Army Man duo known as Daniels) expertly balances the hilarity and heartache of what happens when dark secrets are dragged kicking and screaming into the light.
訳:聖なるがらくた。ディックは死んでいます。昨夜、バンドの練習を終えて亡くなりました。彼のバンドメイト、Zeke&Earl(Michael Abbott、Jr.&Andre Hyland)は、誰もその方法を知りたくありません。それはあまりにも悪いことです。「アラバマの小さな町ではニュースが速く流れており、これらの人たちはトラックをカバーするのが面倒です。当局はまだ身体を特定していませんが、Zekeの妻(Virginia Newcomb)と娘はすでに疑っています。ビリー・チューの脚本から、ディレクターのダニエル・シャイナート(ダニエルズとして知られるスイス陸軍のデュオの半分)は、暗い秘密が蹴られて光に向かって叫ぶときに起こることの喜びと心痛を巧みにバランスさせています。
※映画.comより引用
実は奥深い《大きなイチモツをください》
もしかしてだけど(もしかしてだけど)もしかしてだけど(もしかしてだけど)
アカデミー賞脚本賞獲っちゃうんじゃないの~
と思うほど『スイス・アーミー・マン』同様、意外にも奥深い作品でした。無論A24はアカデミー賞に『ミッドサマー』か『The Farewell』を推すとは思いますが、鋭い作品には変わりありません。
バンドマンは夜な夜な青春を謳歌するように、酒を呑み原っぱで股間に花火をツッコミ噴射している。しかし、次のカットではメンバーの一人であるディック・ロングが死亡しているではありませんか。Zeke&Earlはディックの死因を悟られないように家族に隠そうとするのだが、娘や妻に疑われ、さらには警察の疑いの目が投げかけられるという内容。
舞台は、田舎町。田舎町は娯楽が少ないのでスキャンダルが娯楽となっており、すぐに伝播してしまう。ディックの名誉のために事件を隠蔽しようとする男たちの苦しみが描かれるのだ。『スイス・アーミー・マン』では無人島で一人サバイバルする者のイマジナリーフレンドが強い生命力を維持するという斬新な理論を打ち立てました。『The Death of Dick Long』では若き盛りのせいで失ってしまった《大きなイチモツ》を求め、そして作られてしまった事実に対していかに村社会から隔絶することで、汚名を払拭するのかといった生々しいプロセスが描かれます。
俯瞰で描かれる本作は喜劇だ。しかしながら、ここで起こっている地方都市の好奇の目というのは悲劇である。また男の若き盛りによる馬鹿馬鹿しい行動という過去をいかにして聖域として隠し通せるのかといった普遍的テーマを持っています。
この珍道中の鋭さに唸るものを感じました。
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