サラブレッド(2017)
Thoroughbreds
監督:コリー・フィンリー
出演:オリヴィア・クック、アニャ・テイラー-ジョイ、アントン・イェルチンetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
渋谷シネクイントの《樽出し生映画祭》で上映された心理サスペンスが満を期して今月9/27(金)より日本公開決まりました。2016年に車の下敷きになって27歳という若さで亡くなったアントン・イェルチン、『レディ・プレイヤー1』のヒロイン・アルテミスを演じたオリヴィア・クック、そして『スプリット』のアニャ・テイラー-ジョイと2010年代注目俳優が織りなす物語観てみました。
『サラブレッド』あらすじ
「レディ・プレイヤー1」のオリビア・クックと「スプリット」「ウィッチ」のアニヤ・テイラー=ジョイという注目の若手女優が共演したスタイリッシュサスペンス。しばらく疎遠だったが再会した幼なじみの少女アマンダとリリー。個性的であるがゆえに周囲からのけ者にされているアマンダと、名門校に通い一流企業でのインターンも経験するなど上流階級の暮らしを送るリリーは、全くの正反対に思えた。しかし、リリーが抑圧的な継父を憎んでいることがわかったことから、2人は心を通わせ、友情を深めていく。そして、次第に自身の中の凶暴性をあらわにしていく2人は、ドラッグの売人ティムを雇い、リリーの継父の殺害を企てるが……。監督・脚本は、舞台演出家・劇作家でこれが映画監督デビューになるコリー・フィンリー。2016年に交通事故で他界したアントン・イェルチンがドラッグの売人ティム役で出演。イェルチンにとってはこれが遺作となった。
※映画.comより引用
Mais ne nous délivrez pas du mal(しかし、私たちを悪から救わないでください)
城のような豪邸に住み、純白で成功している少女リリーの前に、幼馴染の女アマンダがやってくる。彼女が家のソードを拝借しようとしているところとバッタリ遭遇し、そこから久しぶりの再会を喜ぶ二人であったが、アマンダの邪悪な心が、純白なリリーを灰色に染めていく。まるで乃木坂46のドキュメンタリーのように会話をすればするほど、心にある小さな悪が増幅されていく。「Thorough(=完全な)」と「bred (=育てられた)」が組み合わさった《Thoroughbred(=育ちの良い)》という単語は、グリーンハウス育ちの薄っぺらい人であることを皮肉る。一見、可愛く美しく、暴力を避けているように見える者にも闇があり、その闇と強制的に退治させようとするコリー・フィンリーの意地悪な姿勢は、ミヒャエル・ハネケを彷彿とさせる。
物語は、ほとんどリリーとアマンダの会話だけで構成され、サスペンスでありながら、ほとんど復讐の対象者である継父にナイフの矛先は向かわない。なので、純粋な復讐サスペンスを期待してみると肩透かしを食らうことでしょう。
しかしながら、誰しもやったことがあるだろう。自分の内面に分身を作り出し、自問自答しながら嫌いな人を抹殺することを。そうです。これは自分の世界で創り出した殺人を映画として捉えてみた作品なのです。建前によって決して表に出ることのない悪を形取る。この視点は新鮮であり、『サラブレッド』というタイトルに力強さを感じた。
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