【ネタバレなし】『TOURISM』スマホを捨てよ町へ出よう

ツーリズム(2018)
TOURISM

監督:宮崎大祐
出演:遠藤新菜、SUMIRE、柳喬之etc

評価:採点不能

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ポスターに惹かれていたはいいものの、上映時間がシビアで行こうか迷っていた作品『TOURISM』。昨年話題となった『大和(カリフォルニア)』に引き続き、逃してしまうのかと思っていたのですが、親友が全力でオススメしていたので急遽週末観に行きました。『天気の子』のダメージがデカすぎたので癒しを求めて観たのですが、ブンブンの傷を癒すどころか、今年暫定1位に登り詰めた特大場外ホームラン作品でありました!

Knights of Odessaさん評:宮崎大祐『TOURISM』失われた本来の”観光”とは

『TOURISM』あらすじ


気軽に日本を飛び出し、シンガポールで本来の姿を見つける2人の少女を描いた、「大和(カリフォルニア)」「夜が終わる場所」の宮崎大祐監督作品。東京からほど近い地方都市・神奈川県大和市に暮らすフリーターのニーナは、スー、ケンジの3人でシェアハウスをして暮らしている。ある日、ニーナは世界中どこにでも行けるペア旅行券の抽選に当たり、スーと2人でくじ引きで決めたシンガポールへと旅に出る。初の海外旅行ではあったが、日本とそれほど代わり映えのしないシンガポールの町並みに2人は軽い失望感を覚えていた。そんな中、ニーナはチャイナタウンで携帯電話を紛失し、さらにスーともはぐれてしまい……。ニーナ役を「大和(カリフォルニア)」につづき宮崎組への参加となる遠藤新菜。スー役を雑誌「装苑」専属モデルを経て女優として活躍するSUMIREがそれぞれ演じる。
映画.comより引用

スマホを捨てよ町へ出よう

冒頭2人の女の子と1人の男の子がダラダラと会話する。幽霊みたいな人がいる。怖い。いや優しいよ。フムスって何?日本の食べ物じゃないよね?えっフムスでレバノンとイスラエル戦争しているのウケるー。

みたいなたわいも無い会話が続く。空族の映画のように地方都市でくすぶっている若者のドキュメントかな?と思い観察する。彼女たちは、幸せになりたい、今の生活でいいのだろうか的な疑問こそあれど、漠然としていてふわふわ空中浮遊だ。

そこへ、最大級の映画の嘘。

「世界中どこでも旅できる権利」が降って来るのだ。しかし、彼女はそんな権利をテキトーなルーレットで決めてしまう。ダーツの旅かよ!

そしてシンガポールに行き本編が回り出す。

先日、元アイドルの前田敦子がウズベキスタンを彷徨うとっても怖い映画『旅のおわり世界のはじまり』が公開されました。トラベルジャンキーなブンブンにとって背筋が凍るほど怖かったのだが、本作は更に怖い。半分作りものの話とはいえ、ドキュメンタリータッチで撮られた本作の終着点は、「あー楽しかったね。めでたしめでたし」と決まっているのだが、余りに危なっかしい彼女たちの道中にハラハラする。なんたって、彼女たちに待ち受けるイベントは、ブンブンも何度か経験しとても怖い思いをしているからだ。

トラベルジャンキーなら誰しも一度は経験する絶望を唐突に魅せてくるのだ。怖すぎる!

そして、この映画はただドキュメンタリータッチで無軌道な旅を撮ったトラベルジャンキーのご褒美映画に留まらない。

今のご時世、GoogleMapsで擬似旅行はできるし、テレビをつければ、「ここが私のAnother Sky」なんてキラキラした有名人が嬉々として語る。

我々は世界を知った気になってしまう。しかし、本当の文化交流や旅によるかけがえのない経験はスマホの、いやディスプレイの外にあるという真実を説得力ある画で魅せてくれるのだ。このスマホを捨てよ町へ出ようの発想が私の魂を最大限に癒しました。

ってことで、少しでも興味ある方はユーロスペースに行ってください!

P.S.ふと、旅行会社のインターンに行った時を思い出した。旅以外のプロジェクトを企画するミッションで、ブンブンのチームはプラネタリウムを使った旅擬似体験ブースを考案した。その時、担当者から「擬似旅行ってそれで満足しちゃうから、実際に旅行してくれなくなるんだよねー」と言われた。確かにと思う一方、仮想空間だけで行った気になるとはなんて勿体ない。金と時間があるなら、外出ようぜと感じたのでありました。

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