『アラジン ~新たなる冒険~』フランスでは既に『アラジン』は実写化されていた件

アラジン ~新たなる冒険~(2015)
Les nouvelles aventures d’Aladin

監督:アルトゥール・バンザカン
出演:Kev Adams,Jean-Paul Rouve,Vanessa Guide etc

評価:30点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

今週末に青いウィル・スミスがジーニーという人格を奪ったことで話題となっているディズニー実写版『アラジン』が公開されます。ただ、実はフランスでは既に実写化されていたことをご存知だろうか?2015年に『アラジン ~新たなる冒険~』という実写映画が製作され、昨年その続編に当たる『ALAD’2』が公開されています。そして面白いことに、フランスではおとぎ話ユニバースを展開しようとして実写版シンデレラ『LES NOUVELLES AVENTURES DE CENDRILLON』を製作したり、『アラジン ~新たなる冒険~』では白雪姫が登場したりしています。ただしいずれも、批評家評も観客評も悪い大惨事となっている問題のユニバースでもあります。そんなユニバース1作目『アラジン ~新たなる冒険~』を観てみました。

『アラジン ~新たなる冒険~』あらすじ


砂漠のオアシスにある王国。貧しい若者アラジンは友人と組んでインチキ薬を売りさばいて小金を稼いでいた。そんなある時、彼は客の中に美しい女性、実はお忍びで城を抜け出したソフィア王女を見つけて一目惚れするが、正体を知る間もなく役人にインチキがばれて命からがら逃げ出すはめに。砂漠で怪しい老人と出会った彼は、何でも願いが叶うという魔法のランプの伝説を聞き、危険な冒険の末についにランプを手にするのだが……。
※WOWOWより引用

福田雄一がアラジンを撮ったら?

フランス映画って、おしゃれな作品ばかりなイメージが強いのですが、それは違います。日本の配給会社がそういった作品しか持ってこないからで、実際は日本のテレビ屋映画のようなコテコテのギャグ満載な作品が量産されていたりします。そしてこの実写版『アラジン』は、まるでauの三太郎シリーズのコマーシャル、あるいは福田雄一のコメディ映画のようにメタにメタを重ね、ギャグを何層にも積み上げた代物でした。

まず、クリスマスのデパートにカメラが向けられる。やる気のないサンタクロースが、子どもたちのためにおとぎ話を聞かせるのだが、「今日のお話は《新アラジン》だ。リミックスって奴ね」と言い始めます。子どもの夢を破壊しかねないほど、やる気がなくチャラいサンタクロースの語りによって『アラジン』は進行する。そして、ディズニーに対抗してかちゃんとミュージカル仕立てになっているのだが、徹底的に中東の音楽なんか使わないし、「A Whole New World」的な音楽なんか使ってらやないぞ!とフレンチヒップホップのリズムに合わせてイスラム世界の民が踊り狂うのだ。しかも、サンタクロースの語りで進行する体にも関わらず、そのミュージカルシーンは音楽番組のようなテロップがついて展開される。物語の構造なんか知ったこっちゃない。面白ければなんでもいいでしょ精神がムンムンとするので、胸焼け必至です。特に福田雄一映画が苦手な人が観るとかなりキツいものがあります。

さて、次々とだだ滑りしているギャグが展開されていく。空飛ぶ絨毯は機械仕掛けだとか、砂漠のど真ん中に「止まれ」の標識があるとか、砂漠で倒れているアラジンの前に瓶を持った人が現れるのだが、すってんころりん瓶を破壊してしまうとか、いちいちどうでもよくて失笑が漏れます。しかも、ちょくちょく現実パートに戻り、サンタクロースが「もう話やめていいっすか?」と言い始め、子どもたちが止めるという揉め事なんかが挟むから、なかなか物語に入り込むことができない。

結局、きっとウィル・スミス版は楽しいんだろうなと感じるだけの虚無に満ち溢れた作品でした。フランスでは昨年公開された続編のできがあまりに悪かったせいか、ウィル・スミス版『アラジン』は批評家、一般観客共に高評価となっています。そんな『アラジン』、日本公開は6/7(金)。楽しみですね。

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