第72回カンヌ国際映画祭(2019)作品紹介1:ジャームッシュにドランにデプレシャン!

第72回カンヌ国際映画祭(2019)作品紹介1

一昨日夜に、第72回カンヌ国際映画祭の出品作品第一弾が発表されました。昨年は傑作であるものの、難民や貧困、戦争といった勝てる映画で勝負していた作品が多かったのですが、今年はジム・ジャームッシュの異色ゾンビ映画だったり、ポン・ジュノのサスペンスが入っていたりと多様性に満ち溢れた回となっているようです。そして、今年は新気鋭の作家、それもアンスティチュフランセやMUBIガチ勢が喜びそうな作品が多かったりします。

今日から少しずつ紹介していきます。

The Dead Don’t Die(ジム・ジャームッシュ)

ストレンジャー・ザン・パラダイス』、『パターソン』と日本でも人気が高いアートインディーズ映画の巨匠ジム・ジャームッシュがゾンビ映画を撮影!ソダーバーグが『ラッキー・ローガン』で完全オフ会映画を撮ったように、今回は賞なんて撮る気さらさらない趣味の映画となっています。なんたって、ビル・マーレイ、イギー・ポップ、RZA、アダム・ドライバーとジャームッシュ映画の常連さんが、ゆるーくゾンビと闘ったり、ゾンビになりきったりするのだから。終いには、ティルダ・スウィントンに『キル・ビル』のユマ・サーマンのモノマネなんかやらせています。そんな本作はカンヌ国際映画祭オープニング作品に躍り出ました。すでにロングライドが配給権を購入しているので、早ければ年末に日本でも鑑賞できそうです。楽しみ!

Matthias and Maxime(グザヴィエ・ドラン)

『わたしはロランス』、『MOMMY/マミー』で世界を熱狂させたグザヴィエ・ドラン最新作。前作の初英語作品『MA VIE AVEC JOHN F. DONOVAN』がポストプロダクションに難航し、3大映画祭全てスルーして公開した困難っぷりを魅せたのだが、あっさり次回作はカンヌのコンペに選ばれました。アマチュア映画撮影に励む二人の男のラブストーリーとのこと。グザヴィエ・ドランの一貫した自分の人生と重ね合わせた作品となっているようです。ただ、『たかが世界が終わり』以降方向転換したドラン映画はブンブン苦手傾向があるので結構不安だったりします。

ROUBAIX, UNE LUMIÈRE(アルノー・デプレシャン)

ブンブンの苦手監督であるアルノー・デプレシャン作品。クリスマスの夜に、老婦人が殺害され、隣人でアルコール中毒であるクロードとマリーのカップルが逮捕されてしまうという内容。デプレシャンにしては、社会派ドラマを匂わせる内容だそうです。上映時間も短めの2時間と意外な作品となっています。

Atlantique(マティ・ディオップ)

セネガルの巨匠ジブリル・ジオップ・マンベティ(『トゥキ・ブゥキ / ハイエナの旅』、『太陽を売った少女』etc)の姪であるマティ・ディオップが初長編映画にしてカンヌ国際映画祭の華コンペティション部門に凱旋!あらすじを観る限り、彼女が撮った同名短編ドキュメンタリーからインスパイア受けて、ダカールにいる不法労働者の話と、火事による悲劇をクロスさせた作品のようです。

Bacurau(クレーベル・メンドンサ・フィリオ、Juliano Dornelles)

『アクエリアス』で注目され、その年のカイエ・デュ・シネマベストテンにも選出されたブラジル新気鋭作家クレーベル・メンドンサ・フィリオ最新作。ドキュメンタリー製作でブラジルの村に潜入した映画監督がとんでもない物を見てしまう話だそうです。

The Whistlers(コルネリウ・ポルンボユ)

『Infinite Football』や『トレジャー オトナタチの贈り物。』で密かに注目されているルーマニアの鬼才コルネリウ・ポルンボユが登場。『トレジャー オトナタチの贈り物。』である視点部門を制した功績で躍り出た、カンヌ発掘作家作品だ。本作は、麻薬売人に押されぎみな捜査官の物語となっているのですが、どうやらそこにルーマニア特有の社会問題を絡めて混沌とした物語になっているようです。

Frankie(アイラ・サックス)

同性婚を描いた『人生は小説よりも奇なり』でカイエ・デュ・シネマベストテンに選出され、東京国際映画祭では『リトル・メン』が上映されているインディーズ映画の隠れた逸材アイラ・サックスがポルトガルを舞台にした3つの観光物語を手がけたようです。アイラ・サックスはキャリアこそ1996年から始まっているので決して新鋭ではないのですが、もうそろそろ認められてもいいのではと思う監督。せめて監督賞でも獲れたらなと期待しています。

Portrait of a Young Woman(セリーヌ・シアマ)

『ぼくの名前はズッキーニ』の脚本を手がけたセリーヌ・シアマが描くコスチュームプレイ。18世紀末にブルターニュの孤島で肖像画の製作を依頼された者の話です。シアマのフィルモグラフィーからすると全く未知数の作品。画家映画はなかなか賞に絡まない傾向が強いのですが果たして…

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