ザ・ブラック・クランズマン(1966)
The Black Klansman
監督:テッド・V・マイケルズ
出演:Richard Gilde,Rima Kutner,Harry Lovejoy,Max Julien,Jakie Deslonde,James McEachin etc
評価:40点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
皆さんは知っているだろうか?アカデミー賞で脚色賞を受賞したスパイク・リーの『ブラック・クランズマン』と全く同じ内容の作品が1966年に製作されていたことに。来月カナザワ映画祭でも上映される『ザ・ブラック・クランズマン』だ。The Hollywood Reporterの記事《‘Black Klansman’ KKK Thriller in the Works From Spike Lee, Jordan Peele (Exclusive)》によると、スパイク・リーの映画とは全く関係ないとのこと。確かに、『ブラック・クランズマン』の当事者であるRon Stallworthは1953年生まれで1974年頃に潜入調査をしている。『ザ・ブラック・クランズマン』が政策されたのは1966年。いくらRon Stallworthが盛ったとしても、13歳で潜入調査をできるとは思えない。つまり、『ザ・ブラック・クランズマン』 はRon Stallworthの未来を予言した作品と言えるのです。ということで観てみました。
『ザ・ブラック・クランズマン』あらすじ
リンチで殺された娘の復讐を誓った黒人は、白人に変装しKKK団に入団する。この悪の集団を内側から破壊するのだ。南部の最奥部で極秘裏に撮影された本作はクー·クラックス· クラン(KKK)を描いた映画の中で最もショ ッキングと言われる。日本初公開。
※カナザワ映画祭サイトより引用
『ミミズバーガー』の鬼才テッド・V・マイケルズ渾身の作品
本作は、『スウィート・スウィートバック』、『黒いジャガー』といった黒人アクション映画が流行る少し前に、アメリカ南部の奥地で秘密裏に製作された本作は、あの『ミミズバーガー』で有名なテッド・V・マイケルズが監督していたということだけでも驚きだ。クロアチア系アメリカ人である監督が、KKKに潜入する黒人のアクション映画を撮るという挑戦的な内容は先見の明あったと思わずにはいられません。そして内容も、ブラックスプロイテーションの肝をおさえており、白人女性を黒人がレイプしたり、警察官と死闘を繰り広げる様子をスタイリッシュに撮っていたりと非常に攻めた内容となっています。
スパイク・リーの強みは冷静さ
しかしながら、時代が時代だけに「とにかく白人を倒せ」と言わんばかりの作風は現代にはそぐわず、人によってはフラストレーションが溜まる作品といえます。そう考えたときに、やはりスパイク・リーの作風は評価せざる得ません。『ブラック・クランズマン』や『ドゥ・ザ・ライト・シング』、『マルコムX』と一貫して、ボーダーレスな差別と暴動を描いています。黒人だって、憎しみを糧に運動することにより暴力的になってしまう。内なる差別を開花させてしまうことへの危なさを毎回主張しているのだ。その視点は、とにかく白人をやっつけろなブラックスプロイテーション映画から一歩先を行くものを感じ、スパイク・リーがいなければここまで黒人映画はアカデミー賞で注目されるようにはならなかったのではと思います。
正直、映画として面白いかと訊かれたら否と答えるのですが、黒人映画史にとって非常に重要な作品だといえます。
カナザワ映画祭では5/3に公開されます。興味ある方は是非!
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