もくじ
平成21年:愛のむきだし
監督:園子温出演:西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラ、尾上寛之、清水優etc
インディーズ映画のビッグバン!4時間に及ぶ、破廉恥な受難の物語は、日本だけでなくベルリンにもセンセーションを巻き起こした。パンチラ盗撮男の壮絶な物語は時にシェイクスピアを彷彿させ、当時高校生だったブンブンにショックを与えました。この時代のギラギラした園子温はいつになったら帰ってくるのだろうか?
平成22年:キャタピラー
監督:若松孝二出演:寺島しのぶ、大西信満、吉澤健、粕谷佳五etc
これは全然平成感ないのですが、個人的思い入れが強いので入れさせて頂きました。本作はVFXでもって五体不満足の男と、それを介抱する女性の肉体に夜戦いを描いた作品。ブンブンは早稲田松竹で本作を鑑賞し、ラストシーンに対する解釈を若松孝二監督に質問したところ、「それは自分で考えるものだ。若い者は答えを知りたがるが、考えることこそが大切なのだ」と怒られた貴重な経験をしました。それが今のブログの超私的考察の血となり骨となっているところがあるので、この作品は外せませんでした。
平成23年:サウダーヂ
監督:富田克也出演:鷹野毅、伊藤仁、田我流、ディーチャイ・パウイーナ、尾崎愛etc
地方都市に住む外国人と日本人のユートピアを夢見てもがき苦しむ様を描いた作品だ。荒々しい映像、下衆の極みな世界の中に垣間見える、クールなビジュアルと魂のラップに心動かされます。
平成24年:この空の花 長岡花火物語
監督:大林宣彦出演:松雪泰子、高嶋政宏、原田夏希、猪股南、寺島咲etc
東日本大震災以降、様々な震災を扱った作品が生まれたが、映画芸術として震災を捉えた作品はほとんどない。それができている唯一の作品がこれだ。圧倒的情報密度で、戦争や震災による破壊に対して声高らかに平和を謳う。それがあまりにもアヴァンギャルドなので全くもって説教臭さを感じない魔法に満ち溢れた作品だ。
平成25年:横道世之介
監督:沖田修一出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛etc
ノスタルジーの塊。平成って振り返ると陰鬱していた時代なんだけれども、25年も経つと、美化され美しいものへと変わる。リアルな平成観もいいが、このキラキラして希望に満ち溢れた平成観も好きだ。まあ、個人的に法政大学出身ってところもあり、思い入れが強い作品です。
平成26年:東京難民
監督:佐々部清出演:中村蒼、大塚千弘(大塚ちひろ)、青柳翔、山本美月、中尾明慶etc
平成後半になると、ある異変に気づきます。それは都心部であまりホームレスを見かけなくなったということだ。確かに新宿の高架下なんかにはいるが、上野公園のビニールハウス集落はすっかり駆逐され、京成上野と銀座線を結ぶ長い通路を拠点にしていたホームレスも最近は見かけなくなった。彼らはどこへ行ってしまったのだろう。その答えはここにあります。親の蒸発で、大学を追い出され、どん底に落ちていく主人公。彼は公園に泊まるのではなく、ネットカフェに住むようになるのだ。今やネットカフェが、貧窮に貧困を重ねた者の居場所になっていることを思い知らされる作品だ。
平成27年:天空の蜂
監督:堤幸彦出演:江口洋介、本木雅弘、仲間由紀恵、綾野剛etc
堤幸彦監督は苦手なのですが、この作品で魅せる娯楽性と反骨精神には感銘を受けた。東日本大震災があったからこそ、人々は原発に関心がある。そこを『新幹線大爆破』さながらのスペクタクルと原発に対する問題提起の二段構えで展開していく様は圧巻でした。
平成28年:何者
監督:三浦大輔出演:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉etc
平成が生み出した若者の肖像ここにあり。インターネットにより、世界は狭くなりすぎた。と同時に可能性は広がりすぎた。そんな世界で何者になろうとし、何者にも慣れない若者がもがきながら人生のスタートラインを探していく様は当時就活生だったブンブンの心に深く刺さりました。そしてこの作品は、世代が違うと全く理解されないようで、年配の映画ファンと話した際、「今の就活ってこんな感じなの?」と仰天していました。
平成29年:バンコクナイツ
監督:富田克也出演:スベンジャ・ポンコン、スナン・プーウィセット、チュティパー・ポンピアンetc
日本は現在凋落の一途を辿っている。技術力も中国やインドなんかに負け始めている。そして、最近海外に出稼ぎに行く日本人の姿が確認されるようになった。そんな今だからこと大事な作品だ。貧しき者は、さらに貧しい場所に行き、搾取することで糧と自尊心を得て行く。経済移民は何故危険を犯してまで、悲惨な人生が待っているのに移動をするのかについて多角的視点で突き詰めた傑作だ。
平成30年:カメラを止めるな!
監督:上田慎一郎出演:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰etc
平成終盤は、口コミが映画産業を支える時代となりました。『この世界の片隅に』を筆頭に、数々の映画が口コミによって上映館を増やしていきました。その最大の功績がこの『カメラを止めるな!』です。ワークショップ映画、たった2館での上映が口コミにより約100日に及ぶ満席記録を更新。配給がアスミックエースに変わり、TOHOシネマズで上映され、世界中の映画祭を席巻し、日本アカデミー賞の舞台にもたった。そして公開から1年もたっていないのに、金曜ロードショーで放送された。これは平成映画史最大の事件と言えよう。
平成31年:チワワちゃん
監督:二宮健出演:門脇麦、成田凌、寛一郎、玉城ティナetc
平成最後の傑作は『チワワちゃん』で決まりだ。本作は、正直言って薄っぺらい。サイケデリックな映像の中でパリピが騒いでいるだけだ。ただし、その薄っぺらさこそ平成を象徴しているとも言える。情報に溢れ、人々はSNSでのいいねやリツイートの数、ゴシップを中毒のように吸っている。しかし、そんな人生は空虚だ。そういったことを映像全体で体現している。ブンブンの心をズタズタになるまで刺した平成最後の怪作である。
最後に
平成も間も無く終わります。新時代にはどんな傑作が登場するのか楽しみですね!
それではまた!
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