【ネタバレ酷評】『ウトヤ島、7月22日』このワンカットはアカン!

ウトヤ島、7月22日(2018)
Utoya 22. juli

監督:エリック・ポッペ
出演:アンドレア・バーンツェン、エリ・リアノン・ミュラー・オズボーン、ジェニ・スベネビクetc

評価:10点

第68回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品され物議を醸した問題作。Netflixがポール・グリーングラス監督に撮らせた『7月22日』同様2011年7月22日にノルウェーで発生したテロ事件を描いた作品だ。ただ、ポール・グリーングラス版とは違い、こちらはウトヤ島の殺戮を72分ワンカットで描いたのだ。果たして…

※ネタバレ記事です

『ウトヤ島、7月22日』あらすじ


2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で起こった無差別銃乱射事件を、生存者の証言に基づき映画化。97分間の本編のうち、事件の発生から収束までの72分間をワンカットで描いた。11年7月22日、ノルウェーの首都オスロの政府庁舎前で車に仕掛けられていた爆弾が爆発する。世間が混乱する中、オスロから40キロ離れたウトヤ島で今度は銃乱射事件が起こり、同地でノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加してた10~20代の若者たちが犠牲になった。犯人は32歳のノルウェー人のアンネシュ・ベーリング・ブレイビクという男で、極右思想の持ち主であるブレイビグは、政府の移民政策に不満を抱きテロを計画。政府庁舎前の爆弾で8人、ウトヤ島の銃乱射で69人と、単独犯としては史上最多となる77人の命を奪った。映画は同テロ事件のうちウトヤ島での惨劇に焦点を当て、サマーキャンプに参加していた主人公の少女カヤの視点から、事件に巻き込まれた若者たちが恐怖や絶望の中で必死に生き抜こうとする姿をリアリズムたっぷりに描いた。監督は「ヒトラーに屈しなかった国王」「おやすみなさいを言いたくて」のエリック・ポッペ。18年・第68回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。
映画.comより引用

結論:『カメラを止めるな!』のワンカットは面白い

、、、単純につまらなかった。

カメラを止めるな!』の37分ワンカットがつまらないとよく言われるが、いやいや断然『カメラを止めるな!』のワンカットは面白いと言いたい。監督の真面目さがすべてを台無しにしてしまったのとそれに対する言い訳描写があることにより怒りすら湧いてきます。

本作は、不謹慎ながら例えるならばかくれんぼの逃げる側をノンカットで撮った作品だ。

バラエティ番組「逃走中」が面白いのは、2時間以上ある逃走劇から美味いところを抜き出しているところにあるのであって、大半は膠着状態や、ハンターに見つかっていない状態だ。それを無視して、単純に一人の逃げる人を撮っても面白くはならない。本作は、大半が単調な銃声を前に人々が怯える場面。遅々として進展がありません。

「これは歴史のアーカイブだ。実際にあった事件を扱っているんだから、面白さを求めるのは的外れだ。」

とここまで読んだ方は思うでしょう。しかし、劇中冒頭とラストに「ここに出てくる人物は架空です。事実に基づいたフィクションです。」と言っているのです。少なからず監督は本作にホラーとしての娯楽性を意図していたことが分かります。そう考えると、凄惨な事件を盾にとり批判されることを避けている非常に狡猾な映画にしか見えない。また、終盤では主人公であるカヤが錯乱状態に陥って湖に出た途端、犯人に射殺されるというショッキングな場面がある。こことぞ言わんばかりの演出なのだが、あまりに狙いすぎている。『7月22日』のような唐突さがないので、ワザとらしいぶりっ子演出にしか見えず、フラストレーションが溜まる。結局、退屈で無駄に正義を振りかざした偽善的な映画であり、全くもって評価できませんでした。

あまりの退屈さにイビキをかいて寝ている人も散見されたことから、本作の試みは失敗に終わったと言えよう。

果たして、ワンカットで撮る意味はあったのか?努力点稼ぎに過ぎなかったのでは?

Netflix映画『7月22日』の方が断然奥深さとメッセージ性があるので是非お試しあれ。

という訳で誠に遺憾ながらブンブンシネマランキング2019最初のワースト映画候補となりました、、、無念

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