『二ノ国』サムライエッグの苦みが炸裂する…

二ノ国(2019)

監督:百瀬義行
出演:山﨑賢人、宮野真守、山寺宏一、梶裕貴、ムロツヨシ、伊武雅刀、新田真剣佑(真剣佑)、永野芽郁etc

評価:50点

おはようございます、退屈なサラリーマンの世界《一ノ国》から逃れるように映画超人の集まる国《二ノ国》で妖刀・デザンシャンテを振り回しているチェ・ブンブンです。

Twitterで『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を超える今年ワースト1候補と悪名高い作品『二ノ国』を観てきました。

『二ノ国』あらすじ


レベルファイブの人気RPG「二ノ国」シリーズを長編アニメーション映画化。現実世界の自分と命がつながっている、もうひとりの自分がいる魔法の世界「二ノ国」を舞台に繰り広げられる少年たちの冒険を描く。レベルファイブの日野晃博が脚本を手がけ、スタジオジブリで高畑勲、宮崎駿作品の多くを支えてきた百瀬義行が監督。音楽もジブリ作品でおなじみの久石譲が担当する。車椅子生活を送る高校生ユウは、学校でトップクラスの成績を誇る秀才で、バスケ部の人気者ハルと、ハルの彼女コトナとは幼なじみだ。ある日、事件に巻き込まれたコトナを助けようとしたユウとハルは、現実世界と並行する魔法の世界「二ノ国」に引き込まれ、そこでもうひとりのコトナであるアーシャ姫と出会う。ユウはアーシャにひかれていくが、コトナを救うためにはアーシャの命を奪わなければならないということを知り、2人は究極の選択を迫られる。主人公ユウ役を山崎賢人、ハル役を新田真剣佑、コトナ/アーシャ役を永野芽郁と、それぞれアニメ映画の声優初挑戦となる若手俳優たちが務め、宮野真守、坂本真綾、梶裕貴、津田健次郎、山寺宏一と実力派声優が脇をかためる。
映画.comより引用

悪くはないが…

本作は平成の三兆円事件を起こした『妖怪ウォッチ』でお馴染みレベルファイブの同名RPGゲームの映画化だ。メガホンをとったのは、昨年スタジオポノックの短編オムニバス『ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間』で観客に大きなトラウマを与えた社会はアニメ《サムライエッグ》を手がけた百瀬義行である。なるほど、Twitterで2分に1度疑問が湧く、障がい者差別が酷いと言われたのも納得だ。ただ、これはミスリードであり、且つ正しい反応とも感じた。

バスケ部の人気スター・ハルは彼女コトナと何不自由ない生活を送っている。それを親友にして車椅子生活をしているユウが見守っている。3人は帰りにカフェに行こうとすると、大きな階段と出くわす。ユウは空気を読んで、「二人だけで行ってきなよ」と去る。コトナはそんな彼を気にするが、ハルは「大丈夫だ、迂回すればまた行けるんだし。」と彼の心情に無頓着だ。それと対比するように、普段は笑顔のユウの内面が綴られる。ユウもコトナのことが好きで、足が不自由でなければ彼女をモノにできたのではという考えが過ぎる。ただ、その邪心を振り払おうとするのだ。

そこに、コトナストーカー事件が起こる。彼女を救おうとしてユウはストーカーにタックルをかますが、ストーカーのナイフは彼女の胸にグサリと刺さってしまう。彼女を守れなかった彼に対してこともあろうかハルは、「何してんだテメェ」とキレるのです。この一連のハルの言動に差別を感じる方がいるのだろう。

ただこれは、物語として非常に上手く機能するものの筈だった。《二ノ国》にワープすると、ユウは足が動くようになり、さらに剣術が覚醒するのだ。一方、ハルはただのモブキャラと化してしまうのだ。そうです。《一ノ国》、《二ノ国》で逆転する立場によって対立し、互いの世界に引き込もうと綱引きする話にしようとしていたのだ。

しかし、脚本が悪い為、パラーバランスが崩れてしまい、ハルの無頓着さが鼻につく結果となったと言える。なんたって、《二ノ国》におけるハルの無能感が演出できていないのだ。スタジアムでの戦闘シーンで、ハルの貧弱さを魅せようとはしているのだが、なんだかんだいって彼の剣術はそこそこの腕を魅せてしまっているのだ。その為、ハルの劣等感が見えてこないのだ。

そして、そのパラーバランスの瓦解により、本来だったらあまり見えない粗すら露見する羽目となる。ストーリーは、まるでニコニコ動画のラジオ実況者幕末志士の寸劇さながら、感情は全てセリフで語られ、多弁と謎理論により推し進められていく。そしてとっちらかった要素を、強引に収斂させていくことにより、オチに凡庸退屈な御都合主義感が漂う。

またコトナ/アーシャ姫を演じた永野芽郁の演技が宙に浮いており、時々キャラクターの口の動きと声が合っていないように見えてしまう。こういった不協和音の連続が、多くのブーイングを生み出してしまった。個人的には、そこまで悪くなかったとは思う。もっと酷い映画がこの夏集中していたので。それでも、数日後には観たことを忘れてしまいそうな作品であったことには間違いない。これは脚本と声優に問題があった。

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