フォルトゥナの瞳(2019)
監督:三木孝浩
出演:神木隆之介、有村架純、志尊淳、DAIGO、松井愛莉etc
もくじ
評価:50点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
コピペ歴史改竄暗黒ブック『日本国紀』で昨年から炎上している日本が誇るファイヤーマン兼ファイヤーファイターこと百田尚樹の小説が映画化!『フォルトゥナの瞳』は予告編を観る限り、映画ファンからするとあまりにもオチが読め読めでエモーショナルポルノ感が強い作品だ。ブンブンも当初、観る予定はなかったのですが、あることを知ってしまって、ブンブンの中の運命の女神フォルトゥナがブンブンの足を劇場へと向かわせてしまいました。
その要因とは…「松井愛莉が出ている」ということだ。
ブンブン、実は松井愛莉が好きなのです。チョコレート、ガーナのCMで広瀬すず、土屋太鳳と一緒に映った彼女の笑顔を観た時から、ブンブンの心に電撃が走りました。もはや広瀬すずや土屋太鳳なんか見えません。彼女の完璧な笑顔に惚れ込んだのです。しかし、彼女はなかなかブンブンの観る映画圏には現れてはくれず、『映画 ビリギャル』では完全モブキャラとして扱われ、『通学シリーズ』ではヒロインの筈なのに監督の技量不足で全く魅力を引き出せていない結果となってしまった。
基本的に俳優で映画を観に行くなんてことはしません。せいぜいジェイソン・ステイサム、ドウェイン・ジョンソンが出ていたら一応観ておくかと考えるくらいで、通常は映画監督と内容で映画館に行きます。そんなブンブンも今回は完全に松井愛莉を観にいく為に映画館へ足を運びました。
今日はその結果と、松井愛莉の演出技法について三木孝浩監督過去作『青空エール』と比較して考察していこうと思います。
※ネタバレ記事です
『フォルトゥナの瞳』あらすじ
他人の死が見えてしまうという不思議な力を持ってしまった青年が、最愛の女性の「死」に立ち向かう姿を描いた百田尚樹の同名小説を、神木隆之介と有村架純の共演、「僕等がいた」「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の三木孝浩監督のメガホンで映画化。幼少期に飛行機事故で家族を失い、友人も恋人もなく仕事にのみ生きてきた木山慎一郎。しかし、慎一郎が「死を目前にした人間が透けて見える能力」=「フォルトゥナの瞳」を持っていることに気づいてしまったことから、生活が一変。なぜこのような力を持ってしまったのかを自問自答する苦悩の日々が続く。そんな日々の中で慎一郎は桐生葵という女性に出会い、互いに惹かれあった2人は幸せな日々を過ごす。慎一郎の孤独な人生に彩りを与えてくれた葵という存在。しかし、葵の身体が突然透け始めてしまう。慎一郎役を神木、葵役を有村がそれぞれ演じるほか、時任三郎、斉藤由貴、北村有起哉、志尊淳、DAIGO、松井愛莉らが脇を固める。
※映画.comより引用
ブンブンは激怒した
ブンブンは激怒しました。とはいっても、物語上しょうがないのですが。
というのも、松井愛莉登場シーンは秒で終わりました。多分、彼女の登場シーン合計しても3分はないことでしょう。彼女は神木隆之介演じる木山慎一郎の自動車工場従業員の一人役として出ています。なんとDAIGO演じるヤクザな男の女になって、身売りされ終わるというだけの役でした。正直、だったら映画にいらなかったんじゃないのと思うレベルです。
木山慎一郎は過去に人を救えなかったトラウマから、自分が得てしまった《死期が見える能力》を使うかどうか悩ませられます。人の人生を変えると、その代償として自分の心臓に大きな負荷がかかり死に近く。その代償と天秤にかけ、孤独に闘っていく姿にカタルシスを見出す作品となっています。その中で、沢山バッドエンディングなシチュエーションが流れるのだが、松井愛莉演じる同僚を救えなかったというエピソードだけ、《死》と直結していないのです。DAIGOヤクザが、「風俗に売ったよ」と木山慎一郎から語られ、彼女の登場シーンはターンエンドとなってしまうのだ。だから出オチで終わっている感が強い。この映画にそもそも彼女が出る幕はなかったように思えます。もしどうしても出演させたいのであれば、有村架純演じるヒロインを救うか、松井愛莉を救うかの究極の選択を強いる場面を用意すべきだと感じます。
では三木監督は、彼女の魅力を引き出せたのかというと…これが全く出せていない。後述するが『青空エール』では非常に高度な演出でもって彼女の魅力を120%引き出すことに成功しています。そんな三木監督が全くもって彼女の良さを本作に見いだせていないのは事件です。
何と言っても、松井愛莉最大の武器である超絶笑顔がしっかりと撮れていないのだ。横から、神木隆之介越しからうっすらと見せるだけで、あとは暗い顔しか見せていません。暗い表情や性格が、映画終盤で陽に変わる時に、彼女の笑顔を映すならまだ効果性が感じ取れるのですが、これでは別に他の女優さんが演じてもいいのではと思ってしまいます。やはり、映画というのは、その世界で、その俳優以外のキャスティングはあり得ないと思わせることも重要だと思っているだけに非常に残念でした。
そこそこ面白く、そこそこ悪い
とはいえ、Twitterでの酷評祭を知った上で観にいくと、それほど悪くないのではと思いました。有村架純と神木隆之介のまっすぐな心を捉えることで、よくよく考えるとキチガイな話でコンプライアンス的にも問題ありありな作品にも関わらず思わず「尊いね」と思ってしまうものがあります。そこが三木監督の良さだったりします。
と同時に、映画ファンが酷評するのも十分よくわかる。あまりに露骨で早すぎる《代償》の提示には、おいおい大丈夫かと思った。また、本作は予告編で衝撃的なラストと謳っていますが、それが完全に後出しジャンケンで、それは衝撃の結末とはいわないといいたくなりました。有村架純も実は死期が分かる超能力を持っていて、神木隆之介が昔飛行機事故で救えなかった少女は実は有村架純でしたというオチに誰が納得できるだろうか。トラウマによって記憶を書き換えたとしても、あれだけ散々少女が飛行機の残骸に潰されるシーンを魅せられた後に、実は…といわれても説得力がありません。しかも、そのネタを引きずる為に、木山慎一郎が全力で列車を止める大団円が終わった後、ズルズル10分くらい物語は続くのです。典型的なダメダメ邦画の作りをしているのです。しかも、中途半端に真面目なので、傑作にも駄作にも吹っ切れていないので、数ヶ月経ったら忘れてしまいそうな作品となっている。というわけで、ブンブンは可もなく不可もない50点をつけました。
『青空エール』の演出を思い出して!
不満が溜まったブンブンは、Netflixで同じく三木孝浩監督で、脇役に松井愛莉を抜擢した『青空エール』を観ました。内容自体は、ブンブンが嫌いな連帯責任系部活スポ根映画なので、そこで描かれる上下関係や仲間内のギスギスした様子にフラストレーションが溜まったのですが、役者の演出において非常に高度なことをやっています。2つのポイントに分けて分析していきます。
ポイント1:土屋太鳳とのコントラストが素晴らしい
本作は吹奏楽未経験の小野つばさ(土屋太鳳)が「応援したい」という単純な目的で、強豪吹奏楽部に入るという内容です。つばさの幼馴染役として松井愛莉が抜擢されています。三木監督は、土屋太鳳の特徴である媚びを売ったような掠れ声と、一瞬でモブキャラになれる特性に目をつけました。ボサボサヘアで自分に自信のない《隠》の属性を土屋太鳳に与え、それと対比させるように《陽》の松井愛莉を配置する。そして彼女の笑顔を全力で見せることで、小野つばさの未熟さを強調させることに成功しています。そしてその対比によって、《底辺》を際立たせることによって、つばさの成長が強調されていきます。土屋太鳳の演技をあまり評価していないブンブンではありますが、掠れ声で演技下手に見えた彼女が映画の終盤で大空に羽ばたく姿に心奪われたし、応援したくなりました。松井愛莉の対比演出がなければここまで、土屋太鳳の演技の良さは際立たなかったことでしょう。
ポイント2:様々な松井愛莉の美しさを捉える
本作では、様々な松井愛莉の美しさを演出しています。制服時の彼女の可愛さはもちろん、夏祭りのシーンで浴衣を来た際の華やかさには心を奪われる。そして何よりも、単に刺身に乗せられるタンポポのように松井愛莉を演出するわけではない。つばさが一生懸命トランペットを頑張っているのを見て、中盤から「私も応援したい」とチアリーダーになるのです。今まで、彼女に適した役って何だろうと思っていたのですが、なるほどどうやらチアリーダーだったようです。チアリーダーとして野球部を応援する彼女を観ると元気になれます。しかも絶妙な塩梅で彼女を映すことで、しっかりと主役としての土屋太鳳の位置を崩しません。
最後に…
どうしてブンブンが銀幕で観たい女性はブンブンの好きなタイプの映画には出てくれないのだろうか?個人的に松井愛莉、貴島明日香、熊井友理奈はスクリーンで観たい。もちろん、彼女らが演出し辛いのはよく分かる。全員演技は正直微妙だと思う。松井愛莉はやはり写真集とかCMとか点のメディアで最大の魅力を発揮できるし、貴島明日香は本業がお天気お姉さんだから仕方がない。熊井友理奈はそもそも男優選びに苦労するといった問題を抱えている。それでも、やっぱりスクリーンで輝く彼女を見てみたいと強く思うブンブンでした。映画関係者の皆さん、よろしくお願いします。
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