天才作家の妻 40年目の真実(2018)
The Wife
監督:ビョルン・ルンゲ
出演:グレン・クローズ、ジョナサン・プライス、クリスチャン・スレイターetc
評価:50点
おはようございます、チェ・ブンブンです。第91回アカデミー賞主演女優賞にグレン・クローズがノミネートされました。主演のグレン・クローズは今回でアカデミー賞7度目のノミネートです。1983年に『ガープの世界』で初ノミネートされるものの、毎回運悪く受賞できず、『アルバート氏の人生』では自ら製作、脚本、主題歌、そして主演を兼任し、男として生きた実在の人物を全力で演じたものの、マーガレット・サッチャーを演じたメリル・ストリープに王座を奪われてしまった悲しい過去もあります。今回、最有力のレディー・ガガ、政治的受賞が見込まれるヤリッツァ・アパリシオがあまりに強いのですが、果たして『天才作家の妻 40年目の真実』での演技はいかがなものでしょうか?
※ネタバレ記事です
『天才作家の妻 40年目の真実』あらすじ
メグ・ウォリッツァーの同名小説を『Daybreak』でベルリン国際映画祭銀獅子(芸術貢献賞)を受賞したビョルン・ルンゲが映画化。ノーベル文学賞に輝いたジョゼフ・キャッスルマン。喜ぶ妻と、ストックホルムにやってくるのだが、ジャーナリストのナサニエルの影によって、意外な真実が明らかになる…ナサニエルが超絶キモにえる!!
本作は、正直凡庸なヒューマンドラマであった。人格者だと世間から思われている男が、実はクズ野郎だということを、ノーベル賞という権威の権化に象徴させ、妻の目線からそこのクズさに対する愛を描いていく中々面白そうな題材ではあるものの、正直退屈でした。というのも、本作に物語的ツイストがないのはもちろん、町山智浩を始め、妻が実はゴーストライターだということを語ってしまっているからだ。恐らく、この作品はその事実を伏せて観ないと面白くないタイプの作品と言える。
そして、本作はその事実の鍵を握るクリスチャン・スレイター(『ニンフォマニアック』でジョーのおとっつぁんを演じてました)演じるハゲタカライター・ナサニエルのキモさを楽しむ作品といえる。ナサニエルの爬虫類的ギロギロした表情、語り口の厭らしさはたまったもんじゃありません。飛行機で、キャッスルマン夫妻の席にナサニエルがこんにちはとやってきて厚かましく話しかけてくる。非常に鬱陶しい。しかも、夫が「あっち行きやがれ」と追い払うと、彼は別の乗客に絡み始める厚かましさ。彼はフリーランスなのだろうか?生活に必死が故のウザさが滲み出ています。そんな彼をカメラは全力で捉える。というよりも、新宿駅でカメラによく映り込もうとするサイコパス・ピンク帽子の女さながら、彼の方からカメラに映り込もうとするのだ。
「俺だよ!ナサニエルだよ!」
とお前の場所じゃないのに、存在感を出そうとする気持ち悪さが堪らないです。なので、正直グレン・クローズよりもクリスチャン・スレイターにこそアカデミー賞ノミネートの座は相応しいのではないかと思ってしまう。彼女の演技は「いい本書いてね」とナサニエルに皮肉の飛び蹴りをぶちかますところ以外、お行儀が良い That’s itな感じしかなくて、アカデミー賞受賞は厳しいかなと思いました。
ナサニエル、キモにえるな作品としてオススメです。
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