『凱里ブルース』ビー・ガン、次回作への布石ここに敷く

凱里ブルース
KAILI BLUES

監督:ビー・ガン
出演:Yongzhong Chen,Yue Guo,Linyan Liu etc

評価:60点

今年期待作の一つにビー・ガンの『ロング・デイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト

』がある。本作はブンブンシネマランキング2018にて8位にランクインしました。そんな本作は今年どうやら公開されるようです。合わせて、ビー・ガン監督のデビュー作『凱里ブルース』も公開されるという話も流れてきました。そこで、一足早く、『凱里ブルース』を観てみました。

『凱里ブルース』あらすじ

小さな街の医者が消えた甥を探している。すると、夢のような現実のような世界に誘われていき…

浮遊感の原石

本作は『ロング・デイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト』の布石にあたる作品。出演者のほとんどが、ビー・ガン監督の友人や家族で構成され、凱里の片田舎で撮影している。そう考えるとドキュメンタリーのような作品になりそうだ。中国田舎町の廃墟を荒々しいタッチで描いたような。しかしながら、本作はビー・ガン監督の圧倒的才能によって別次元の世界を魅せてくる。

ドローンを使ったような浮遊感溢れるカメラが、バイク乗りの後ろを追い回す。そして、カメラは突然、横道に逸れて、細道を疾走する。そして細道を抜けると、さっきのバイクが横からやってくる。その独特な世界観に魅了される。廃墟の家に丸い時計の絵が書いてあり、影が時を刻む。虚無の中で、揺らめく人影。『ロング・デイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト』の時にも感じたタルコフスキーの風味を感じさせます。

両作品とも話はほとんど一緒である。失った者に対する心の時を超えた対話。低予算の『凱里ブルース』がカンヌ向けの大作『ロング・デイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト』に変わると、青と緑の色彩でもって、移りゆく過去を次々と塗り替えていく。そう考えていくと、ビー・ガン監督が巨匠になるかならないかは、次回作にかかっている。監督インタビューで、次回作は3Dを使わないとのこと。この監督は、ここ数年最重要監督なので、日本公開した際は是非足を運んでみて下さい。特に、『ロング・デイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト』は劇場でお楽しみ下さい。

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