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『暁に祈れ』ほぼドキュメンタリー!タイの獄中でLivin’ on a prayer

『暁に祈れ』ほぼドキュメンタリー!タイの獄中でLivin’ on a prayer

暁に祈れ(2017)
A Prayer Before Dawn


監督:ジャン=ステファーヌ・ソベール
出演:ジョー・コール、ポンチャノック・マブラン、ビタヤ・パンスリンガム、ビリー・ムーアetc

評価:80点

A24がまたしてもやりおった!本物の少年兵を使った『ジョニー・マッド・ドッグ』で有名になったジャン=ステファーヌ・ソベールを起用し、薬物拳銃所持でタイの刑務所に入れられたビリー・ムーアの壮絶な獄中記を映画化!


実際に、タイの獄中にいた人を起用し撮った狂気の映画『暁に祈れ』が日本公開されたので観てきました。公開日初日は、タイのお酒の試飲会が開催されたり、丸山ゴンザレスのタイレポートなどイベント盛りだくさんでした。

『暁に祈れ』あらすじ

Once upon a time not so long ago
Billy used to work on the boxing gym, police arrested me by drugs
He’s down on his luck, it’s tough, so tough
a ladyboy works the prison all day working for mens
She brings Billy her pay, for love, for love
そう遠くない昔の話
ビリーはボクシングジムで働いていたんだが、麻薬で逮捕されてしまった
彼は運に見放されたんだ、マジでキツイぜ、マジで
レディボーイは獄中で働く、野郎の為に
彼女はビリーに貢ぐんだ、愛のために、そう愛のために

She says, we’ve got to hold on to what we’ve got
It doesn’t make a difference if we make it or not
We’ve got each other and that’s a lot for love
We’ll give it a shot
彼女は言う、俺らは手にしたものにしがみつくしかないんだ
対して変わりゃしない 上手くいこうがいかまいが
俺らは共にいる 愛に満たされとる
やってみようぜ!

Woah, we’re half way there
Woah, livin’ on a prayer
Take my hand, we’ll make it I swear
Woah, livin’ on a prayer
Woah, 俺らは道半ば
Woah,祈る者として生きるんだ
我が手を取れ、上手くいくよ俺は誓う
Woah,祈る者として生きるんだ

タイの獄中でLivin’ on a prayer

御察しの通り、本作はBon Joviの”Livin’ on a prayer”を基にして作られたかのような、胸熱魂の祈りに満ち溢れた映画だ。主人公のボクサーは、イングランドから遠いタイの地でボクサーとして生きている。しかし、麻薬に溺れ、暴力的な彼は警察に捕まってしまう。タイの警察は厳しく、彼はムショ行きとなる。ムショでは、イレズミを入れた強面な囚人が沢山いて、新人いびりが始まる。執拗ないじりに嫌気がさすビリー。しかし、段々と折れていく。と同時に麻薬中毒による禁断症状に苦しむこととなる。看守の目を盗んで、協力者にヤクを仕入れてもらい、獄中でもヤクに溺れていくビリー。ズタボロになりながら、言葉も文化も分からぬ混沌としたムショで死人のようにして生きる彼に2つの微かな光が差し込む。

一つは、レディボーイという獄中の男たちが夢中になるアイドルの一人との恋。そしてもう一つは、ジムに通っていた少年の面会だった。少年が、何か話している。ビリーには何を話しているのかが分からない。ただ、少年が自分の為に一生懸命何かを伝えようとする。そこで自分の惨めさに気づき、ツーと涙が滴る。そして、彼は獄中にあるムエタイジムに通い、ムエタイボクサーになろうとするのだ。決して誰かに勝つのが目的ではない。自分に勝つ為に、ムエタイに挑戦するのだ。

ダルデンヌ兄弟のような、超至近距離で悲惨な人生と向き合うカメラワーク。正直、格闘映画としては非常にアクションが見辛いものがある。しかしながら、クズでどうしようもない男が、クズなりに獄中を生き残る様。ムエタイにどんどん魂が宿っていく様に、観る者は心を動かされる。

上映後の丸山ゴンザレスの話によると、ジャン=ステファーヌ・ソベール監督は、本作に登場するホンモノの犯罪者を一人ずつスカウトしていき、セリフも実際に彼らが獄中で話た言葉をそのまま話させたとのこと。だからほとんどの登場人物が、演技なんかしていないのだ。その徹底したリアリズムの中で描かれる等身大のドラマに心動かされた。

ちなみに、本作ではビリーの父親役としてビリー・ムーア本人が出演しているのだが、彼はタイに入国拒否されている為、彼が出演している場面はフィリピンの刑務所で撮影されたとのことです。また、本作は当然ながらタイでは上映禁止となっています。でも、タイのNetflixでは配信されるとのことです。

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