劇場版 のんのんびより ばけーしょん(2018)
監督:川面真也
声の出演:小岩井ことり、村川梨衣、佐倉綾音、阿澄佳奈etc
評価:80点
TOHOシネマズのフリーパスを使って普段観ないタイプのアニメ映画を観た。
日本のアニメは意識的/無意識的に平気でベルイマンとかタルコフスキーを捻じ込んでいくので、油断するとびっくりするのだが、今回観た『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』はジャック・ロジエのバカンス映画を思わせるものがあった。
『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』あらすじ
デパートの福引で沖縄旅行を当てた旭丘分校一味は、夏休み最後のひと時を全力で遊ぶ…ジャック・ロジエたる世界
夏休みの淵に、少女たちは儚さを覚えている。「何かやり過ごしたことはないか?」と。そんな中、3泊4日の沖縄旅行が当たり、夏休み最後の祭が幕開くという内容。
本作は、何も事件が起きない。我々の夏休みと同じように、ただただ遊んでいる者たちが映し出されているだけだ。しかしながら、アニメという完全にコントロールされ、「現実ではない」というイメージが強いコンテンツにおいて、「福引をやる」「モールで友だちとばったり」「沖縄でカヤック、シュノーケリングをやる」といった何気ないアクションを描くことで、我々が無意識の彼方においやっていた微かな幸せ。何気ない時間こそが幸福であると教えてくれる。それだけに、何気ない幸福のボーナスステージである夏休み、少女たちにとって非現実の世界である夏休みが終わる淵の淵で、キューッと胸が締め付けられる程切なくなる姿に観ているこちらの涙腺まで刺激される。なんら哀しいことはないのに。
』に通じるものがある。(カップラーメンのシーンが『オルエットの方へ』のエクレアシーンとシンクロし、個人的に一番好きなシーンでした)。
夏の終わりに野外上映で観たい作品でした。
それにしても、日本のバカンスはフランスと比べて、予定を詰め込み過ぎですな。私もそうだが、バカンスは「何かしないといけない」という気持ちに駆られてしまう。「何もしない」という選択肢に罪悪感を感じてしまう。
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