『満月の夜』エリック・ロメールとモンドリアン、水と油の気が…

満月の夜(1984)
LES NUIT DE LA PLEINE LUNE(1984)

監督:エリック・ロメール
出演:パスカル・オジェ、チェッキー・カリョ、
ファブリス・ルキーニetc

評価:70点

妹がエリック・ロメールのレポートを夏休みに書くというので、無性にロメール映画を観たくなり、『満月の夜』に挑戦してみました。

『満月の夜』あらすじ

郊外とパリを行き来するレミ。彼女は郊外とパリにそれぞれ男がいる。恋をしたいが束縛されたくない。そんな複雑な女心を、エリック・ロメールが軽妙に紡いでいく…

モンドリアンが最大の謎

エリック・ロメール、愛の哲学映画。今回は、割とエリック・ロメールと意気投合した。郊外にカレシを放置プレイし、パリに直々、仕事娯楽の為遠出する女と、彼女に翻弄される男との関係を描いている。

エリック・ロメールはWikipediaでみると歌丸師匠、あるいはイカルドにクリソツだが、実に女心を汲み取るのが上手い。

ソクバッキー、とにかく「彼女の側にいたい」、そばにいるねby青山テルマな野郎共に対し、恋人関係は持続したいが、肉欲には溺れたくない。あくまで大事なのは心よ!と叫びたい女の複雑な心境をコミカルに描いている。男の「別に自由にしていいんだよ」と言いつつも、「なんとかして、我が懐に!」と画策するも、全て見透かされている感じは、全男性よ必見といったところ。

さて、本作は印象的な場面がある。女と男がくっちゃべる部屋に、ピエト・モンドリアン の抽象絵画『コンポジション』が2枚も飾られているのだ。

抽象絵画といえば、従来人の内面や思想を反映させるものだと認知されていた絵画に対し、徹底的にメッセージ性や物語たるものを廃したもの。

エリック・ロメールといえば、本作もそうなのだが、人々の内面を描く作家性故、何故水と油な関係をここで提示しなければならなかったのかとブンブン気になった。

なんせ、『コンポジション』は抽象絵画の中でも新造形主義の作品にあたり、秩序と調和の取れた表現を目指している。つまるところ、混沌とした恋愛と喧騒としたパリを映した本作の軸とは真逆のベクトルにあるのだ。

ただ、見方を変えればこれこそがロメールの狙いなのではないだろうか?一見、秩序が整った生活。郊外とパリを一定リズムで行き来し、それぞれの場所の男と、一定の距離を取る。この外見上の秩序が、ロメールの目線でじわじわと内面に迫るうちに複雑怪奇な恋愛観が見えてくる。

ロメール流舞台装置として機能していたと考えると、なんとなく腑におちてきた。芸術素人なので、誰かがっつりモンドリアンと本作の関係について解説してほしいなー

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