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【カンヌ国際映画祭特集】『失われた週末』山口達也擬似体験映画(第1回最優秀賞受賞作品)

【カンヌ国際映画祭特集】『失われた週末』山口達也擬似体験映画(第1回最優秀賞受賞作品)

失われた週末(1945)
The Lost Weekend(1945)


監督:ビリー・ワイルダー
出演:レイ・ミランド、
ジェーン・ワイマンetc

評価:90点

今この時期に『失われた週末』程タイムリーな映画は他にないだろう。第1回カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞したビリー・ワイルダー渾身のアルコール中毒映画だ。先日、日本トップクラスのアイドルグループTOKIOのメンバー山口達也のセクハラ問題が明るみになり、それと同時に彼がアルコール中毒だったことが露見した。TOKIOは老若男女から愛されていたアイドルだったが故にテレビやSNSで、内戦のように荒れた。そして当の本人は5/6(日)をもって、ジャニーズ事務所との契約が解除された。

そんな今だからこそと思い本作を鑑賞した。

『失われた週末』あらすじ

売れない作家バーナムはアルコール中毒に悩まされている。兄は、彼が酒を飲まないよう、自宅に隠された酒はあやど捨ててしまい、金も取り上げている。ある日、兄は旅行に誘うのだが…

全ての中毒症状の恐ろしさここにあり!

本作はアルコール中毒もとい、全ての中毒の恐ろしさを擬似体験できる。そして、一度嵌ったら抜けられない底なし沼に自分だったらどうする?と冷や汗が出てくるだろう。物語は、アル中の作家が兄に中毒を断つ為の旅行へ行くところから始まる。兄は弟の病気を治そうと、弟が隠した酒を捨て、金も与えない。酒を飲めない環境を作り出そうとする。

物理的に酒を断てば治るのか?中毒は恐ろしい。弱い心が、欲望が、全力で酒を求めるのだ。中毒が、頭を狡猾に働かせるのだ。

そして、自分の中では分かっているのだが、本当は酒なんかよい、酒ごときで犯罪なんかゴメンだ。紳士でいたいと思うのだが、抗えない。そして、ようやくありつけた酒は美味い。背徳感と努力の味が、さらに心を蝕む様子を本作は120%演出している。

普段酒なんか飲まない人ですら、主人公の苦痛とシンクロする作品になっている。

もちろん、酒やスマホ、ギャンブルと何かしらの中毒を経験したことがある人なら尚更共感するだろう。そして、主人公が見る幻覚、そして自身の中毒を隠そうとする様に背筋が凍るだろう。これは自分だと。

なので、今映画ファンに最も観てほしい傑作だ。山口達也は何故、病院退院後いきなり酒を飲みセクハラをしてしまったのか、示談はしていたとはいえ、何故平然とZIPに出続けられたのか。これらの謎がきっと判ることでしょう。

おまけ1:隠された同性愛エピソード

町山智浩の解説によると、本作は原作者であるチャールズ・R・ジャクソン本人の物語だということ。しかし、チャールズ・R・ジャクソンがアルコール中毒に陥った原因が同性愛者だったという設定を映画では丸ごとカットされている。これは、映画単体として観たときに非常に上手い。同性愛要素を抜くことで、普遍性が滲み出てくる。原作者にしては堪ったものではないのだが、個人的にはこれはこれでありだと感じた。

おまけ2:第1回カンヌ国際映画祭事情

本作は第1回カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞したのだが、当時のカンヌ国際映画祭は今のように最優秀賞を1本決めるものではなかった。今でいうコンペティション選出に近く、応募された数十本の作品の中から優秀作品11本選出するものだった。

この年、選出された作品は下記である。

・『地球は赤くなる』ラウ・ラウリッツェン、ボディル・イプセン監督
・『失われた週末』ビリー・ワイルダー監督
・『逢びき』デヴィッド・リーン監督
・『田園交響楽』ジャン・ドラノワ監督
・『無防備都市』ロベルト・ロッセリーニ監督
・『下層都市』チェタン・アナンド監督
・『もだえ』アルフ・シェーベルイ監督
・『マリア・カンデラリア』エミリオ・フェルナンデス監督
・『最後のチャンス』レオポルト・リントベルク監督
・『翼のない男たち』フランチシェク・カップ監督
・『偉大な転換』フリードリッヒ・エルムレル監督

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