『顔たち、ところどころ』日本公開9月アニエス・ヴァルダのアートツアー

顔たち、ところどころ(2017)
原題:Visages Villages
英題:Faces Places

監督:アニエス・ヴァルダ、JR

評価:60点

日本ではアップリンク渋谷にて9月公開のアニエス・ヴァルダのドキュメンタリー『顔たち、ところどころ』。カンヌ国際映画祭で上映されるや否やシネフィルを熱狂させルイユ・ドールを受賞。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。アニエス・ヴァルダといえば、『5時から7時までのクレオ』『幸福』とヌーヴェルヴァーグ時代に変わった作品を作っているイメージが強い。また近年では、ドキュメンタリーに積極的で、『落穂拾い

』は昨年ブンブンを熱狂させた。さて、一足早く『顔たち、ところどころ』を観ました。果たして…

『顔たち、ところどころ』あらすじ

アニエス・ヴァルダは写真アーティストのJRと共に地方都市を周る。地方各地で、巨大なカメラトラックを使って、大きな写真を撮り、町中に貼る。そこで生まれる人々との心の触れ合いをカメラに捉える。

観るアート、アニエス ファンムービー

アニエス・ヴァルダは『落穂拾い』に引き続き、カメラの前で自由に暴れまわる。ナルシストもいいところなのだが、アニエス・ヴァルダだから許せてしまう。今回の旅は、写真アーティストのJRと共に農村や工場を訪問するというもの。行く先々で写真トラックに人々を集め、巨大写真を作り、町の至る所に貼る。

退屈で何も変哲もない風景がいきなりフォトジェニックな観光スポットになる。今まで無名だった人が有名になる。恥ずかしがる人、自慢する人、純粋に楽しむ人。巨大写真という参加型アートによる人々の心の移ろいが、ヴァルダ、JRのインスピレーションを掻き立てる。

確かに面白い。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネートも納得だ。しかし、同時に受賞できなかったのも納得。ドキュメンタリーとしては明らかに被写体より、監督の主張が激しすぎるし、写真と人々との関係の掘り下げが甘く、JRの写真に込める哲学が薄っぺらく感じてしまう。

ただこれは完全にアニエス・ヴァルダのファンムービーだ。鑑賞困難ではあるが、できれば『落穂拾い』でアニエス・ヴァルダの性格を理解しておくと熱狂するドキュメンタリーといえよう。

日本公開は9月。是非劇場でウォッチしてみてください。

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